業界ニュースへ戻る
恰好の標的
(“Soft Targets,” July/Aug 2007)
By Janice Rosenberg
最近のショッピング・センターでの犯罪は、不動産管理士が、セキュリティーの問題を見直さなければならないことを物語っています。
歴史あふれるトローリー・スクエアは、19世紀の古いトローリー倉庫の中に作られ、ユニークな店やレストランで有名な、ソルト・レイク市のトレンディーなモールです。このモールは、今年、死者を出した銃乱射事件があったことでも有名です。
今年2月、一人の銃撃犯が、ローテクのポンプ連射式散弾銃と38経口のリボルバーで、9人を銃撃し、5人が死亡、4人が怪我をしました。この恐るべき事件は、警察官が銃撃犯を撃ち殺して終わりました。
これは孤立した事件でしたが、トローリー・スクエアの乱射事件は、ショッピング・センターのオーナーや管理士が、買物客と小売店のオーナーのために最高かつ最先端のセキュリティーを提供するという、絶対的な必要性を強調しています。
「ちゃんとしたオーナーや管理士は、いつでもセキュリティーの改善方法を探しているものです。」と、カリフォルニア州サンタ・モニカの不動産投資信託、マセリッチの不動産管理上級副社長、チャールズ・ワルドロン氏は述べています。
制限要因
国際ショッピング・センター協議会(ICSC)も、司法省、FBI、連邦取引委員会などの政府機関も、ショッピング・センターの安全侵害の統計は取っていません。
トローリー・スクエア乱射事件で、ソルト・レイク警察署と協力したソルト・レイク市FBIのパトリック・カーナン氏は、FBIで20年働いたが、こういう事件は珍しいと述べています。
しかし、トローリー・スクエア乱射事件に似た最近の事件は、不安を引き起こしています。4月には、ミズーリ州カンザス市のウォード・パークウェー・センターで乱射事件があり、3名の方がなくなりました。2006年のクリスマス・イブには、フロリダ州ボイントン・ビーチのモールで銃撃犯が一人射殺し、群集がパニック状態に陥りました。
また、ショッピング・センターでのテロ事件の不安も広がっています。カリフォルニア州サンタ・モニカのランド研究所が2006年に出した報告書、ショッピング・センターでのテロの軽減によると、1998年から2005年にかけて、21カ国で、ショッピング・センターでのテロ事件が60回起きています。
米国ではまだ起きていません。しかし、9・11のテロ事件は、この国でテロ事件が起こりえることを明確に示しており、ショッピング・センターでテロが起きることはないとは言えません。実際、司法省合同テロ捜査隊は、2006年12月、イリノイ州ロックフォードのチェリーヴェイル・ショッピング・モールのゴミ箱でいくつかの手榴弾を爆発させようとしていた犯人の計画を阻止しました。
「テロには、みんな気をつけなければならない」と、イリノイ州バノックバーンのIPCコーポレーション全国事業部長、ジョー・マーセロ氏は述べています。「私達は、油断しないように最善を尽くしています。いつもセキュリティーのやり方を変えて、他の人にパターンが分からないようにしています。」
ICSCの情報によると、米国には、1,200の屋内のセンターも含めて、約45,000のショッピング・センターがあります。センターには、バリア・フェンスもなく、来た人を審査するわけでもなく、爆弾探知犬やX線機器を使うわけでもありませんので、国土安全保障省は、ショッピング・センターは格好の標的であるとみなしています。
また、ジョージア州マリエッタのヴェイロー・セキュリティー・サービス企業関係部長、スコット・ボーン氏は、ショッピング・センターはみんなが集まる楽しい場所と言うイメージが強いので、厳重なセキュリティーをしくとお客が遠のく、と述べています。ヴェイローのクライアントは、ショッピング・センターのみで、全部で160ヶ所あります。
「公衆は、壁を作ったり審査をしたりすることは我慢できないと思いますので、私達のセキュリティーは、私達が働く環境によって制限されます。」と、ボーン氏は述べています。「朝ドアが開くと人が入ってきます。バッグやポケットの中を調べたりはしないのです。」
安全判断
ショッピング・センターに対するテロ攻撃の可能性に取り組むために、9・11後まもなく、ICSCの代表と国土安全保障省がショッピング・センターのセキュリティーについて話し合いました。その後、ショッピング・モールの管理士や警備会社は、セキュリティーを改善するための多くの戦略を導入しました。
「9・11は、国に対する警鐘でしたが、ショッピング・センターもその一部なのです。気をつけなければならない色々な問題が出てきました。管理士は、十分な管理がされているかどうか、自社のセキュリティーを見直さなければなりませんでした。」とマセリッチのワルドロン氏は述べています。
関係筋の方々は、空調システムの保護、屋上のロック、配達スケジュールの認識、コンクリートのバリケードの使用など、簡単な対策を取るよう、ショッピング・センターの管理士に提案しています。そのほか、安全性向上の手段には、照明、逃げ道の制限、地元警察の保安サポートなどがあります。
また、ランド研究所の調査によると、歩行者出入り口の車止め、バッグの検査、不信な荷物があれば報告するように奨励すること、車の検査などのセキュリティーの従来のアプローチは、実際効果があり、導入することを勧めています。
ヴェイローは、セキュリティーを提供しているモールで、自転車のパトロールを始めました。また、場合によっては、武装していない警備員だけでなく、武装した警備員も使っています。ヴェイローのボーン氏によると、クライアントを守るために、会社のセキュリティー・サービスに関してこれ以上詳しい話をすることはできないとのことです。
モールのお客さんを守るためのより繊細なアプローチとして、ミネソタ州ブルーミングトンのモール・オブ・アメリカの警備員は、「口柔道」の訓練を受けています。警備員は、モールのお客さんと話をするとき、攻撃的なボディー・ランゲージや言葉を使わないで、緊張を緩和するようにしています。モールの広報部長のダン・ジャスパー氏によると、トレーニングは非常に有効だそうです。
テクノロジーによる応戦
IPCのマーセロ氏は、セキュリティー改善の一つの手段はテクノロジーだと述べています。今、管理士や警備会社の間で最新の話題になっているのは、カメラです。IPCは、セキュリティーを提供しているショッピング・センターで、閉回路テレビを使っています。
「多くのセンターは、警備員を補うテクノロジーを探しています。」と、マーセロ氏は述べています。
200以上のリージョナル・ショッピング・センターを管理あるいは所有しているシカゴのジェネラル・グロース・プロパティーズは、ビデオ分析に関する最新情報を調べています。
ビデオ分析では、カメラが、特定のシナリオに対して反応するように設定できます。駐車場を歩いている人が映り、また、その人に向かって進んでいる人が映った場合、カメラをモニターしている人に警報が送られます。
ジェネラル・グロースの警備部長であるデイビッド・レヴェンバーグ氏によると、「ビデオ分析は、セキュリティー・カメラを賢くし、特定の基準に達した場合、カメラのオペレーターに警報を送ります。」
普通、ショッピング・センターには60から125のカメラがあり、一人、あるいは二人でカメラをモニターしていますので、このような警報システムは非常に役に立ちます。
ジェネラル・グロースは、特定のカメラの映像を直接、警察の通信指令系に提供しており、今、巡回パトカーのラップトップ・コンピューターでモールのセキュリティーの映像が見えるように、無線ビデオの実験をしています。
セキュリティーの組み立て
テクノロジー、照明、コンクリートのバリアなどがそろっていても、一流の人材がいなければ、セキュリティーを改善することはできません。最も重要なのは、警備員の採用と訓練手順です。
レヴェンバーグ氏は、不動産管理士は不動産管理全般に注意を払わなければいけませんが、警備会社は、物件を守ることだけに集中できるという点が、セキュリティーを外注することのメリットであると述べています。
「セキュリティーは、従業員集約型の仕事ですので、それだけに集中できる会社は、私達よりも、従業員の募集、訓練、保持が良くできます。」
多くのショッピング・センターのオーナーや管理士は、専門の会社から警備員を派遣してもらいます。運営責任者のケン・ロウナ氏によると、ミシガン州ブルームフィールドのターブマン・センター・インクは、全国で23のセンターを所有あるいは管理していますが、最新のセキュリティー・トレーニング、設備、サポートを提供してくれると言う理由で、2003年に、IPCと契約しました。
警備会社に外注することは、規模の経済利益のゆえに、コストを削減できます。一つの会社が二つのモールを持っている場合、5人の警備員がいるモールは、15人いるモールと似た条件を出してくれるでしょう。また、外注したセキュリティーのスタッフは、給与支払いがなく、管理会社が福利厚生や保険をつける義務がないと、IPCの取締役副社長ジョン・ルシャー氏は述べています。
外注であろうとなかろうと、警備員は訓練が必要です。ワルドロン氏によると、マセリッチ・ショッピング・センターは、ショッピング・センターと警備、また、医学的な緊急事態などのすべての事柄に関する広範囲の訓練を提供しています。マセリッチ・ショッピング・センターでは、セキュリティーとゲスト・サービスのマネージャーが、社外のトレーナーや、時には地元の警察に助けてもらって、セキュリティーのスタッフを訓練しています。
ヴェイローでは、警備員の採用に際して、まず、麻薬、交通違反、犯罪歴を調べ、心理学鑑定をします。また、軍や法執行機関で働いた経験のある人を募集しています。
「不審な行動、例えばぶらぶらしている人、写真やビデオを撮っている人、立入禁止区域侵入を試みる人、色々な質問をする人、特に特定の時間のセキュリティーに関して人を驚かせるような質問をする人などに気がつくようにする訓練をしています。」とボーン氏は述べています。
最後に、ショッピング・センターの管理士と警備員は、周辺地域での犯罪取締りの取り組みについて知っておかなければなりません。現場の安全主任担当官が地元の警察署と良い関係を保つことは絶対必要である、とレヴェンバーグ氏は述べています。
従来のセキュリティー技術、テクノロジー、最高の警備員を、公衆の楽しみを侵害することなく統合することは、思考力とプランニングを必要とするチャレンジです。それには、優先順位を決めることが必要ですが、そうすることによってショッピング・センターはより安全になると、ランド研究所の科学者、トム・ラトュレット氏は述べています。
「問題は、セキュリティーを改善できるかではありません。それはもちろんできます。本当の課題は、オプションの優先順位を決めて、合理的なプランを作ることです。ショッピング・センターを要塞にすることはできませんが、セキュリティーを強化してリスクを下げることはできます。」
補足記事
テロに取り組む
2007年4月1日に、国際ショッピング・センター協議会(ICSC)は、テロ意識訓練プログラムを発表しました。ワシントンのジョージ・ワシントン大学とのすばらしい共同努力によって作成されたこのコースは、DVDとワークブックによる自習コースです。このコースを取る保安要員は、大学のコンピューター・システムにログインします。
これは、ショッピング・センターの保安要員のために作られた最初の反テロ・カリキュラムで、修了に14時間かかります。修了者には、大学から修了証書が発行されます。
コース作成に携わったジョージ・ワシントンの上級研究員、ポール・マニスカルコ氏は、「これは非常にユニークなプログラムです」と述べています。「消防署や警察署など、他の分野の意識訓練と原則的には共通するものがありますが、ショッピング・センターと言う運営環境での応用はユニークです。」
このインパクトの高い意識訓練プログラムは、国土安全保障省の第一応答者向けの基準にも従っています。
イリノイ州バノックバーンの警備会社、IPCインターナショナル・コープの 全国事業部長、ジョー・マーセロ氏は、こう述べています。「すばらしいプログラムで、私たちも喜んでいます。ジョージ・ワシントン大学が作成しましたが、本当に良く考えて作ってあります。他の警備関係者と一緒に私も協力し、適用できるトレーニング・プログラムができました。ジョージ・ワシントンの専門家と一緒に働けたのは、全員にとって良い勉強になりましたし、今日、皆さんがその恩恵を受けています。」
業界ニュースへ戻る