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チキンリトルか用心深い楽観主義か

ベーシックトレーニング (“Basic Training”, JPM® May/Jun 2005)

日々変わる雇用法とリスクマネージメントの課題をオンサイトのスタッフに伝えるために。
by Bridget McCrea

ニューマークリアルエステイト社は、ニューヨークの都市部、コネティカット州、ニュージャージー州にある110の物件を管理している。そこに散らばる200人のオンサイトスタッフに最新の雇用法とリスクマネージメントの新たなスタンダードを逐一理解させるのはきわめて困難になっている。ジョー・ベリナ、ニューマーク社の副社長は、そのためのトレーニングが社のスムーズな経営には不可欠だと感じている。

「もしオンサイトのスタッフが最新の情報を得ることができないなら、オーナーとマネージャーはそれによって大きなリスクを抱えてしまうでしょう。」ベリナは言う。「そのリスクは時間のかかる訴訟と金銭的ペナルティとなり、会社にダメージを与えることになる。」

ベリナはそれがニューマーク社に起こらないように、定期的なトレーニングを行っている。つい最近は、マネージャーを集めたセミナーに、労働法に通じた弁護士団を招き“労働組合への対応の仕方”について議論を交わした。そのセミナーでマネージャーは質問をして、弁護士にそれぞれの建物に特有な課題について語ってもらった。

べリナはまたIREMなどの団体から、新しい情報やトレーニングを得るようにしている。2つの特定のIREMコース(HRS402—Human Resource Essentials for Real Estate Managers, MNT402—Property Maintenance and Risk Management)では、これらの課題について深く学ぶことができる。ニューマーク社はまた、110の物件に関してテナントの満足度、メンテナンス、マネージメントシステムなどに基準を設け、良い結果には報奨金をだすようにしている。

トレーニングの目的
ベリナによるとニューマークの全てのトレーニングプログラムは、フロントライン(リースエージェント、メンテナンススタッフ、各物件のマネージャー)に最新の法、危機管理のスキル、商用不動産の規定を理解させるよう構成されている。

「全ての管理会社が、これほど勤勉であるというわけではない。」レイマン J. ベネロ(CPM®)、人材管理サービス局長、は言う。「入社した者に鍵の束と物件のリストを渡して、後はうまいこと管理してくれるように願う、そんな会社が少なくない。」

過去にいくつかの比較的規模の大きな会社が、トレーニング方法を新たな法律や規定に合ったものに変えてきた、そんな歴史がある。「そういった会社が、社員に正しい行いするよう求め、的確な情報をできるだけ早く手に入れられるよう努力してきた。一方、規模の小さな、地域に密着した企業は、依然、トレーニングプログラムや議論を行う場などを持てないままでいる。」ベネロは言う。

ベネロはそんな企業は今こそ各地に散らばったオンサイトスタッフに、新たなスタンダードを説くトレーニングプログラムを提供するべきだと言う。公正労働基準法、集合住宅の公正住宅法、最低賃金規則、公正信用報告法、他にも数え切れないほどのスタンダードの変更が近年行われている。

マニュアル作成
方針マニュアルは、オンサイトスタッフを教育する有効な手段のひとつである。ホフマン・ムラカミ、ホフマン・ムラカミコンサルティング代表、は言う。そのマニュアルには、法律の改正項目などを載せ、それに対して会社はどのように対応するつもりなのか順を追って説明する。必要に応じて個別トレーニングが行われるため、追加情報のための余白を残す。また会社からの追加情報はメールで送られ、マニュアルに挿入できる。

方針マニュアルと追加の更新情報に必要になるのは、個人のログオフシートである。これは全てのスタッフがマニュアルを読んだことを確実にさせるためであり、日付とサインが記入される。このルールは実際の作業にボトルネックを生む可能性があるが、スタッフが自らの思い込みで作業を行わないようにするための重要な取り組みである(特に訴訟が起こる可能性がある業務に関しては)。

「ADAマニュアル(雇用機会均等法)に則した業務を行うことを考えるだけでも、(経験がある人は、)それが簡単なことではないとわかるでしょう。」ムラカミは言う。「こういったことを自分ひとりでやろうとすると、通常業務などが優先され正しく確実に理解されることにはなりません。しかし、複数の人間が意見を交換する形で学べば、そこから得られた理解は時間がたっても忘れられないでしょう。またそれがあって初めてマニュアルがリファレンスツールとして役立つようになります。」

マニュアルを作成するには、政府のウェブページを参照するのがはじめの一歩になるだろう(例:労働省(www.dol.gov)、住宅都市開発省(www.hud.gov))。法律と規定に関してどの情報ソースを利用するかは、その情報源が、より早く更新され、より正確な情報が得れるかどうかがポイントになる。

「書店には多くの“サルにも分かる”本がある。しかしそれは第三者の解釈が入っているものだ。ベストは政府からの情報をそのまま理解することだ。それがもし理解困難なものであるならば、コンサルタントを利用するか、ごく最近に出版された書籍に頼るべき。」

日々のトレーニング
ピアツーピアトレーニングと呼ばれる、グループの中の知識のある一人がリスクマネージメントと雇用の問題についてグループの前で語るという方法も、オンサイトスタッフの教育に役立つ。ムラカミが選ぶベストの候補は、全ての法律の知識があって、それを業務にどう適用するのか理解できる者だ。

「スケジュールが合えばオフサイトでの(通常業務を行う場所から離れての)トレーニングも効果的だ。」ジョイス L. ジョイア、マネージメントとヒューマンリソースのコンサルタント会社ハーマングループ・グリーンズボロ代表、は言う。「1人か2人のキーとなる社員をそのようなイベントに参加させて、彼らにそこで得られた知識を皆へ「伝える」ようにすることによって、管理会社はその投資をオンサイトのスタッフまで行き渡らせることができる。」

またその知識と重要な情報は週毎のミーティングの中で共有できるようにしましょう。例として、通常のスタッフミーティングの間に、最近の課題を話し合い、オンサイトのスタッフからのどんな質問でも話し合えるような時間を15~20分ほど持つ。ジョイアは、どんなことでも言い合える環境を保つことは潜在的なリスクを回避するのに必要なことだと感じている。

トップダウン
オンサイトのスタッフのトレーニングを効果的にするためには、社のトップはその必要性に気づくだけではなく、トレーニングプログラムを支援し、正しく行われていることを確認しなければならない。シカゴのジョーンズラングラサルで、プロダクトディレクターをするマイケル・リーは、彼の会社が労働法や雇用法などで訴訟が発生したことが一度もない理由は、そういったトップの動きがあるからだ、と語った。

「企業として、我々は正しいことをすることができている。」リーはその功績が、オンサイトスタッフに最新の知識と課題を提供しつづけているマネージメントチームにあると語った。リーの会社は“オープンドアポリシー”を持っている。社員は必要と感じたとき、いつでも経営陣と話をすることができるものだ。

またマネージャーがスタッフを監督するのは、問題解決のためだけではなく、正しい雇用と解雇を行うためでもある。雇用と解雇のポリシーは、法律の専門家によってあらかじめ作られている。毎年監査を行うことによって、リーの会社にある8億平方フィートのポートフォリオの中の従事者が、(マイノリティを雇うという観点から)基準にあった多様性を持っているかを確認している。

各物件のジェネラルマネージャーとCOO(最高経営執行者)は雇用問題に対して責任を持たなければならない、とリーは考える。例えば、チーフエンジニアが建築システムにリスクを発見したら、彼らはそれを法律とリスクマネージメントに通じる(もしくは通じるものにアクセスできる)COOに伝えなければならない。

「法律とリスクマネージメントを担当する者がまた、強いリーダーシップをもっているなら、周りのスタッフもリスクに対する意識をもち、それが社の文化にもなるだろう。」リーは言う。その文化は、“Introduction To Excellence”として知られるプログラムの一部である。最近の傾向として、企業はマネージャーが妥協をしてしまう状況を作らないため、“許容ゼロポリシー”を設けるようにしている。

そういったトレーニングプログラムが、全てのオンサイトスタッフが同じレベルの意識で働く環境を作る。「だからといってアクシデントは起こりえないというわけではない。」リーは付け加えた。「しかしこういったアプローチを行うことで可能性を最小化することはできる。」

ベネロも同じように、毎日の業務の中“正しいこと”を行うためには“トップダウン”で、包括的なヒューマンリソースプログラムを、労使関係の専門家(弁護士など)に綿密に調べられた上、行われるのがベストだと言う。トップダウンのメッセージは、一貫されたもので、文書化され、誰にでも理解できるものでなければならない。

最後に、ベリナはコミュニケーションをとることが効果的なトレーニングプログラムの基盤になると信じている。オープンにコミュニケーションができる環境を作り、課題と知識を共有する作業を定期的に行うことを促す。プロパティーマネージメント業務では、情報の共有は特別に重要になる。なぜならプロパティマネージャーの管理する物件はそれぞれ、同種の労働法、リスクマネージメントに関する課題にさらされているからだ。

「もし一つの物件に問題が生じたならば、その情報は残りの全てのポートフォリオで共有される必要がある。」ベリナは言う。「同じ問題がどこか別の場所でも発生している、またはこれから発生する、ということを考えなければならない。」 

オンライントレーニングリソース
トレーニングに関する情報を集めるために、以下のサイトが参考になるでしょう。
Americans With Disabilities Act, www.ada.gov
Department of Housing and Urban Development (for fair housing), www.hud.gov/offices/fheo/index.cfm
National Labor Relations Board, www.nlrb.gov/nlrb/home/default.asp
The Risk Management Institute, www.irmi.com
The Wage &Hour Division of the U.S.Department of Labor (for minimum wage,labor standards and FLSA), www.dol.gov/esa/whd

ブリジット・マクリア(bridgetmc@earthlink.net)は、フロリダを拠点に活動するフリーライターである。

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