業界ニュース
不動産管理協会 IREM とは
IREMの沿革
IREMプログラムとその特典
IREMの使命とビジョン
不動産管理の概要 
IREMの資格を通した業務開発
日本におけるIREM
リーダーシップ立法サミット
IREM秋季リーダーシップ・コンフェレンス

業界ニュースへ戻る

太陽を捕まえろ
長期的省エネにつながる太陽熱発電
JPM2010年01-02月

ダイアナ・ミレル著

以前は、ニュー・エイジの一時的流行とか、目障りなものとしか思われていなかった太陽エネルギーも、今や、将来性のある代替エネルギーとして、グリーンビル運動の熱気に油を注いでいます。実際、米国太陽エネルギー学会(ASES)によると、太陽エネルギーは、年間数千億ドルの産業となり、毎年40%成長しています。

太陽発電付きの物件はまだまだ日常的ではありませんが、コスト削減を狙う不動産オーナーや管理士は、そのようなシステムのメリットと莫大な初期費用を比較する必要があります。

晴れの予想
商業系と居住系の物件に最もよく見られるソーラーテクノロジーは、太陽発電で、光電池とも呼ばれます。光起電力技術は、太陽電池パネルを使い、通常、屋上か敷地に取り付け、太陽光線を直流電流に変換します。

その電流が変換器を通って交流に代わり、遮断器を通って、消費者、つまり配線網に相互接続するわけです。その電流が物件の電気のニーズに応じて、普通の電力と同じように使われるのです。

電力は、普通の物件と同じように壁のコンセントから伝わり、照明も同じようにつけたり消したりできるわけです。実際、夜中や曇りの日でも電気がなくならないようにするために、太陽発電は、通常、従来の電力を補うだけです。

ですから、太陽発電は、ほとんどの場所で使うことができます。ASESによると、太陽発電が進んでいる州は、カリフォルニア、ニュー・ジャージー、コロラドで、その中でもカリフォルニアが米国の太陽発電設備の3分の2近くを占めています。太陽エネルギーが一番進んでいるのはドイツで、その緯度はアラスカのアンカレッジと同じです。

「ドイツでできるのなら、米国でできないわけがありません。」と、ASESの広報担当官のニール・ローリー氏は述べています。「もちろん、空が完璧に晴れていた方が発電もよくできます。しかし、シカゴの曇った日でも、昼と夜の明るさには大きな差がありますので、その太陽光線を使って発電することはできるのです。」

ほとんどの太陽発電をしている物件は、使っているエネルギーの10~30%を補うことを目標にしています。オハイオ州のネルソンヴィルに近いウェイン国有林本部の屋上の302のパネルを使った60,000キロワットの発電システムは、晴れた日の多い季節はその施設のエネルギーの30から34%、年間では15から20%のニーズを満たせると予想されています。

しかし、それ以上に省エネを計ることも可能です。カリフォルニア州ナパのピーターA.&ヴァーニスH.ガサー基金では、オフィスビルの2050平米の屋上だけでなく、簡易車庫の上に125キロワットのシステムを設置しています。この物件のソーラー・システムは、ガサー基金が配電網から消費する電力の90%を補っています。

「ソーラーをつけても3~5%のエネルギーしか補えてないようなら、十分ではありません。」と、ニューヨークのTIAA-CREFグローバル・リアル・エステートの戦略的イニシアチブ資産管理士ニコラスE.ストラティスCPM®、RPA(不動産管理者)は述べています。

装備の改良:簡単で難しい
地理は別として、太陽発電システムを設置してどれだけエネルギーのコストを削減できるかは、ビルの設備をどの程度改良するかにかかっています。

太陽発電とソーラー給湯システムは、最もよく行われるソーラー設備の改良で、どちらも通常、屋上にソーラーパネルを設置します。太陽発電は、ビルの電気代の削減が目的ですが、ソーラー給湯システムは、ビルの天然ガス代を削減します。

サンディエゴのボレゴ・ソーラー・システムズのCEO、マイク・ホール氏は、「ビルか使っている別々のエネルギーを対象としたものなので」、どちらがより省エネにつながるかと判断するのは困難であると述べています。

しかし、彼の話によると、ビルで何をしているか、またどれだけの給湯が必要かにもよりますが、通常給湯よりも電気の消費量の方が大きいので、給湯プロジェクトは金額も少なく、コスト削減のインパクトも、通常、大したことはありません。

設備改良がどのような種類のものであれ、ビルにソーラー・パワーの設備を設置するのは、かなり簡単です。ウェイン国有林の本部に設置したときも、パネルのトレイを屋上に固定しただけだと、森林工学者のスティーブ・マーチ氏は述べています。

「配線を変える必要もありませんでしたし、今は電池も要りません。」と彼は述べています。

設備改良は、構造改修が必要な場合は簡単ではありません。建築工学技術者がニュージャージー州ストーン・ハーバーのストーン・ハーバー公共事業ビルの屋上を調べたところ、315パネルのソーラー・システムをサポートするためには、構造用鋼の改修工事が必要であることが分かりました。

要注意の検討事項
物件にどの程度のソーラー設備改良が必要かを判断するためには、オーナーや管理士がその物件を注意深く評価しなければなりません。評価のプロセスは屋上から始まります。ほとんどのオフィスや居住系のビルは、システムを設置できるように十分強く作ってありますが、屋根荷重は一番の懸念です。

「これを見落とす人が多いのですが、その建物に設置しても大丈夫かどうかを判断しなければなりません。」とストラティス氏は述べています。

屋根加重が問題なら、他にもオプションはあります。その物件の敷地が十分広ければ、地面にソーラー・パネルを設置することもできます。また、多くの物件のオーナーは、簡易駐車場の上にソーラー・パネルを設置しています。

「これは、一石二鳥で、発電すると同時に、日よけになっているわけです。」とストラティス氏は述べています。

ニュージャージー州プレザントヴィルのAMO®であるコミュニティー・リアルティー管理会社の組合管理ディレクターであり、CPMでもあるエルヴァ・ギャラガーさんによると、ソーラー設置の専門家なら、どこにソーラーパネルを付けるのが一番よいか判断できるということです。ソーラー・システムは、直射日光が必要で、影は少ないほうがよいので、ビルの向きも検討しなければなりません。

ボレゴの上級エネルギー・コンサルタントのデイビッド・ポトヴスキー氏は、次のように述べています。「どのような影であろうと、プロダクションに影響を与え、測定値が変わってしまいます。このシステムは、通常、平屋根につけますので、向きを自由に変えることができます。しかし、胸壁やエアコンのユニットなど、なんでも陰になるものはすべて影響があります。」

ビルのオーナーや管理士が設備改良をするときに気をつけなければならないのは、物件の構造だけではありません。屋根の保証も検討するべきです。ほとんどのソーラー・システムは保証期間が25~30年ですので、屋根は新しいほど良いということになります。

「もし7年以内に屋根を葺き替えなければならないのであれば、ソーラーを付ける前に屋根を葺き替えるべきです。」とポトヴスキー氏は述べています。

また、既存の保証を守ることも欠かせません。ノース・キャロライナ州シャーロットの環境通り1000番地のオフィスビルに50枚のパネルを設置する前に、メイチェン・ウィンゲイト・アドバイゾリー・グループの社長でありCPM、またLEED-AP(日本のCASBEEに相当する称号)でもあるベス・メイチェンさんは、屋根の検査官に問い合わせて、設置することによって保証が無効にならないかどうかを確認しました。

太陽への投資
太陽発電の設備改良をする前にビルを注意深く評価する必要があるように、オーナーや管理士は、このようなプロジェクトの費用とリターンを検討しなければなりません。
太陽発電システムは、10~100万ドルかかります。

「もちろん費用と回収を考慮すべきです。長期的に見て、当初の費用が回収できるかを判断しなければなりません。」とギャラガーさんは述べています。

ASESによると、大量生産へ向けた努力、ソーラーの製造業者の競争、また世界的な経済危機が原因で、ソーラーの製造業者の生産量が余り、実は去年、ソーラー技術の価格は30~40%下落しました。

最終的には、それぞれの状況に応じて、物件のオーナーが、現実的な投資収益を判断しなければなりません。ニュージャージー州ストーン・ハーバーのボロー区の行政官であるケン・ホーク氏によると、多くの物件のオーナーにとって、損益分岐点が6~8年くらいなら経済的に妥当であるようだと述べています。

「損益分岐点が25年から、やるだけの価値はありません。25年も経てば、何が起こるかわかりませんからね。でも6、7年ならやる価値があります。」

ソーラー・エネルギー・システムの設置にかかる初期投資はかなりのものですが、支持者は、光熱費の削減を忘れるべきではないと述べています。

シカゴ本社に16枚のソーラー・パネルを設置したペプシコの持続可能性ディレクターのティム・キャレー氏は、以下のように述べています。「最大のメリットは、もちろん、いったんパネルを設置したら太陽エネルギーはただだということです。最終的には、使ったエネルギーの方がパネルの費用を超えるでしょう。」

初期費用の埋め合わせ
ビルのオーナーや管理士は、ビジネス手腕で初期費用を削減することができます。ガサー基金は、ソーラー・システムにかけた150万ドルの回収は5年でできると予想しています。

そのために、基金は、ソーラーを設置する前の年のテナントの電気代に基づいてテナントのリースに電気代を含める交渉をしました。基金は、テナントに電気代をはらってもらう代わりに、テナントの家賃にそのコストを追加したのです。

ガサー基金のジョセフ・ピートマン会長はこう述べています。「資金を回収して収益があるのでなければ、ビルのオーナーが太陽発電をする理由などありません。経済的にうまく行かなければならないのです。システムのためにお金を出して、テナントが助かるというのでは、うまく行きません。リースの再交渉を嫌がったテナントはいませんでした。これがシステムのコストの捻出方法であり、長期的に見て、こうすることによってほかのビルより競争力がつくのです。」

また、物件は、使われていないスペースをクリエイティブに使って、ソーラー・パワーの恩恵を受けることができます。メイチェンさんによると、ノース・キャロライナでは、大きなオフィスビルの屋上や簡易駐車場を電力会社にリースすることができるそうです。

電力会社がソーラー・パネルの設置の費用を払います。生産された電力は、配電網を通って、売ることができるわけです。ビルや駐車場のオーナーは、システム設置の初期費用なしに、屋上を電力会社にリースして、収益を上げることができます。

物件が、システムが生むエネルギーを全部使わない場合も、収益を上げることができます。余った電力は、その地方の電力会社に売ることができ、次の電気代の支払に使える再生可能エネルギー証券をくれる会社もあります。

また、ソーラーのインストーラーの中には、分割払いにしてくれるところもあり、ソーラー設備を取り付けやすくしています。ボレゴは、ソーラー・システムを無料で設置し、その代わり顧客が会社から固定価格で一定期間ソーラー電力を買わなければいけないという購入契約も提供しています。これは、システムの多額の初期投資をなくす代わりに、無料のエネルギーと言うコンセプトもなくなります。

ポトヴスキー氏は、「物件のオーナーは運営やメンテのコストがかからないし、初期投資は一銭もかかりませんので、とても良い方法です。」と述べています。

設備改良の報酬
費用の3分の1から2を補うことのできる政府のリベートやインセンチブは、ソーラー・システムの資金繰りで最も効果的な方法でしょう。

2009年の緊急経済対策であるアメリカ景気回復再投資法によって何千万ドルものグリーン・パワーのインセンチブが提供されています。この資金は、ソーラー発電の設置にかかる費用の50%まで出ることもあります。ASESによると、営業用不動産のオーナーには、連邦政府からの助成金として直接30%が控除されます。

「これは、経済を刺激するだけでなく、環境保全のために会社がこれらの投資をすることを奨励するインセンチブです。」とASESのローリー氏は述べています。

州のレベルでも、国内の半分以上の州が付加的なインセンチブを出しています。メイチェンさんによると、ノース・キャロライナでは、連邦政府からの30%以外に、35%の租税減免をしてもらうことができ、その上、加速償却によってさらに5%減免してもらうことができるので、減額の総額は、何と70%になります。

ニュージャージー州のボローは、公共事業ビルの光起電性パネルと屋上の構造改良を含めた$438,550のソーラー・システム・プロジェクトのために、ニュージャージー・クリーン・エネルギー・プログラムから、$158,800の助成金を受け取りました。

「パネルの保証は25年ですので、私たちは向こう25年間の分析をしました。7年目に、このプロジェクトに使った額の正のキャッシュフローが始まるはずです。25年後には、正のキャッシュフローは$926,000になるはずです。」とホーク氏は述べています。

これらの収益やインセンチブは、多くの物件のオーナーがソーラーを検討する原因になっていますが、不動産管理士のストラティス氏は、まず省エネに頭を使うことが第一だと述べています。

「まず、お金の全く、あるいはほとんどかからない方法をすべて検討するべきです。エネルギー効率を上げる最も安い方法は、省エネです。使わなくてすんだ1キロワットが、一番安く買える1キロワットなのです。」

ダイアナ・ミレルは、JPM<の寄稿者の一人です。この記事に関する質問は、マーキサン・ナソまでお寄せください。mnaso@irem.org 

補足記事
ソーラー成功事例
2003年に、CPMのエルヴァ・ギャラガーさんは、自分の家でソーラー発電をすることにしました。6年後の今、彼女はその結果に心から満足しています。

郊外の森林に囲まれた地域で、費用効果の高い発電方法はないものかと探していたギャラガーさんとご主人は、ソーラー発電について調べ始めました。彼らは、エネルギーのコスト削減や環境に良いだけでなく、ソーラー・パネルは、固定資産税の控除があり、連邦政府の税額減免と州のリベートで70%ももらうことができると言うことが、すぐに分かりました。十分に調べた後、彼らは、96パネルの12キロワットの台座に置くシステムを家に設置しました。

このシステムをつけてから、ギャラガー一家の電気代は、85~95%削減されました。太陽発電をする前、ギャラガー家では、暖房に石油を使い、年間$1,200~$1,500使っていましたが、これは、石油が今日の1ギャロン(約3.8リットル)$2.49ではなく、$.99の時代のことです。それ以外にも、電気代に毎月$375~$400使っていました。今日、電気代は平均$150~$200で、石油で暖房する必要はなくなりました。

また、ギャラガー家のメーターは、電気が余っているときは逆戻りし、再生可能エネルギー資源証券を使って、電力会社に売ることができます。

「これは、このシステムのために最初に払ったお金の回収にとても役立ちました。個々のマイホームのオーナーやビジネスがその建物に発電機を付けることによって、公共事業は、発電所を作らなくてすむのです。ですから、彼らは私たちを彼らのチームの一員として使って、政府に『我々は発電量を増やしています』と言うことを伝えているわけで、私たちはそれをしてお金をもらっているわけです。」

各州のグリーン・インセンチブのリストは、米国太陽エネルギー学会のウェブサイトをご覧ください。www.ases.org/gosolarです。

 

 

不動産管理協会 IREM とは  |  IREMの沿革  |  IREMプログラムとその特典  |  IREMの使命とビジョン  |  不動産管理の概要
IREMの資格を通した業務開発  |  日本におけるIREM   |   リーダーシップ立法サミット2008