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チキンリトルか用心深い楽観主義か

読み誤ると怖い7つの規定 (“The Seven Deadly Provisions”, JPM® May/Jun 2005)

先を読み交渉する、小売とオフィスリースの実践的戦略。
by Richard Muhlebach, CPM, CRE, SCSM, RPA ,and Eric Muhlebach

交渉は苦手ですか?小売とオフィススペースの交渉は、リースに記載されている基本賃料や建物補修費など、オペレーションコストや占有率に関する規定に話が集中しがちです。しかし、それらと同じ位キャッシュフローと建物の価値に影響力をもつ、にもかかわらず見落とされがちな規定が他にもあるのです。いくつかの規定は、長期的に見たキャッシュフローへのダメージを避けられるものだが、オーナーは多々面倒に感じるあまりテナントの要求を全て呑んでしまう。これらの規定は専門家によって交渉されなければならない。

私たちはそんな7つのリース規定を分析して、どのように交渉すべきか議論しました。考えられるのは、オーナーがこれらの見直しを拒否することです。しかし景気が上向かないため空室率が高くなることや、特定のテナントが契約を左右してしまう可能性などを考慮すれば、これらの規定は交渉されるべきだ。

キーテナントとの連鎖反応
ショッピングセンターにおける最も恐ろしいリース規定は共同借主(Co-tenancy)だ。共同借主とは、キーテナント(通常、大型有名店、全国チェーン店)の経営がうまくいかなくなる(もしくは閉店になる)、またはショッピングセンターの占有率が基準以下(通常75%~80%)になった場合、テナントはリースをキャンセルできる権利を持つことができる。テナントは自身のセキュリティのため、この規定をリースに盛り込むよう主張するだろう。一人、二人のテナントにそれを認めるだけで、連鎖反応が起こり、ショッピングセンターは空になってしまう。70年80年代にはこの規定は一般的だったが、その後15年は聞かれることはなかった。それがある成功した小売店が、この規定を利用したことが知られ、今ではこれが要求される可能性は高い。

対策
キーテナントと共同借主の権利を持つテナントとの売上の関連性を証明させる。キーテナントの売上が落ちたときに、そのテナントにも10%以上の損失が出ていなければリースのキャンセルはできないと条件に加える。オーナーは交渉の上でこの条件を受け入させるわけだが、同時に譲歩案として、キーテナントがいなくなった際はテナントの固定賃料を変動賃料に変更する権利を与えるなど柔軟な対応が求められる。もしテナントが解約の権利を主張するなら、一定期間(通常一年)経たないと解約できないとの条件を追加しておくのが有効だ。そうすればオーナーは、ショッピングセンターの一部を処分するにしても、その後も目標の占有率を維持するにしても、十分な時間ができる。この間、テナントは固定賃料の代わりに変動賃料を払うことが許される、ということにしてもいいだろう。また共同借主の権利の行使は、その引き金となるイベントが発生した直後の一定期間(通常一ヶ月)に限られるべきだ。

ボリュームアップ
テナントはある程度の売上をだすことができなかった場合に、リースのキャンセルができる権利を要求するだろう。一般的に、オーナーがそれに同意する場合は、ショッピングセンターの経営が落ち込んでいるか、そのテナントが他のテナントより力がある場合だ。時にはそういった譲歩は、流行の仕掛け人であり高い売上を出すテナントをひきつけるのに必要でもある。そういったテナントはそのショッピングセンターに他のテナントを呼び寄せることがある。

対策
一定期間の活動後(3、4年)リースをキャンセルすることが許されるようになるべきだ。十分な時間を持つことによって、売上のサイクルを確認でき、ビジネスが安定し、一定レベルの売上が得られるかどうか分かる。もしテナントの売上が早い段階でリースに設けられた基準を超えたら、将来にその基準以下に売上が落ちても、キャンセルができないようにするべきだ。また権利を行使する機会を、決められた期間の間一度きりとすべきだ(例えば、売上が基準以下に落ち込んだ年の次の年度の一月最初の2週間)。またオーナーがキャンセル通知を受け取った後、テナントは90日から120日は明渡すことができないとする。可能であれば、オーナーはキャンセルにペナルティーを科すことができるよう、テナントと交渉するべきです(コミッションの非償却分など)。理想を言えば、キャンセルできる権利はお互い持つべきだ。

お気に入りは誰?
これらの規定は、テナントにとっては好条件となるもの。新しいテナントは既存テナントが持つ譲歩案を要求してくるだろう。オーナーがベストのリースを用意すると言い、するとテナントはキーテナントが持つ条件を全てリースに追加するよう要求するだろう。

対策
そのような、キーテナントと同条件を求めるテナントに対する、ベストで唯一の方法は、「ノー」と言うことだ。ただ、まれに全国規模の業者が持つリースが、「他のどんなテナントより好条件を与えます」という規定を含むこともある。

独占販売権
将来的に深刻な影響力を及ぼす可能性があるにもかかわらず、しばしばテナントに与えられるもう一つの規定は、排他規定(Exclusive provision)である。そのテナントのビジネスは建物内の他のテナントからの紹介で成り立つ性質のものである場合が多い。オーナー、プロパティマネージャー、そしてリースエージェントはこの規定を意図せず犯す可能性があり、その代償は高くつくことがある。

対策
排他規定は、限定がなければ、現在の全てのテナントと将来のテナント、転借人、被認可者に影響を与える。それゆえ非常に限定されたものにならなければならない。例をあげれば、あるサロンがオーナーとの当初の約束では、カットとスタイルのみに排他規定を持っていた。しかしそのテナントは、化粧品販売の権利を主張し、オーナーに化粧品のチェーン店へリースをしないよう要求してきた。

またこの規定は、他のテナントの製品やサービスが売上上補助的なものである限り、それを禁止するべきではない。グリーティングカードなどの商品においては、他のテナントが排他規定を持っていても販売することが当然とされることもあるだろう。ただしリースはそのような商品に対して、販売するコーナーの広さの制限を条件にすることができるだろう。

排他規定に時間の制限が設けられることもあるだろう。テナントの経営を安定させ、同ビルの他のテナントとの協力的な取引関係を構築する機会を与えることを目的にすれば、例えば初年度の営業の間のみに排他規定を当てるということが考えられる。また(排他規定に)有効範囲の制限が設けられることもあるかもしれない。テナントはその規定を活発的に継続して行使することを求められる。この規定が侵害された時のペナルティは慎重に交渉されなければならない。金銭的ダメージはゼロにするべきだ。最低賃料やリースのキャンセルの権利を求めるテナントに、変動賃料を選ぶ権利を与えるなどの工夫が必要です。

再契約オプション
オーナーが深く考えず与えてしまう権利は、再契約のオプションだ。オプションはテナントにリースを延長する権利を与え、オーナー側はテナントの決定(再契約するかしないか)を受け入れる義務を持つ。有名店、レストラン、大規模オフィスなどは、初期コストが高いため(また、交渉にも長けているため)、しばしばオプションの権利が許される。全ての交渉戦略の一部としてオプションを与えられるテナントもいるだろう。

オーナーにとってリースの延長が望まれない理由はいくつかある。1.過去に支払い義務違反があったテナントを拒否できない2.市場価格の変化によりオプション期間の賃料が低すぎることになる場合がある3.テナントポートフォリオにより適したテナントがいるかもしれない。

対策
オプションの行使にはいくつかの条件をつけるべきだ。テナントはリース期間内に滞納がないものとする(大きな滞納が一度もなく、限度回数以下の重大でない滞納)。オプションが行使される期間も限定されるべきだ(一般的に、リースの失効日より180~240日前)。もしオプション期間の賃料が市場価格によって調整されるならば、(オーナー側は)その基準となる物件についての概要を提示しなければならない。例えば、シアトルのパイオニアスクエア地域における地上、最上階でないクラスBのフロアの5,000~10,000平方フィート相当。パイオニアスクエア地域のアウトラインを含む地図も提示される。理想としては、オプションは与えないほうが良い。しかしいつもそうなるとは限らない。小売業者の場合は、過去2年分の売上状況を見て決めるか、オプション期間は変動賃料にするなどして対応される。

監査の時間
リースに熟練したテナントはしばしば収支報告書の監査をする権利を求めてくる。残念なことに、契約上決められていないコストをテナントに回してしまおうとするオーナーは存在する。

対策
収支を監査する権利を求めるテナントを断るのは難しい。しかしそれを利用して、テナントが支払いを遅らせたり避けたりする言い訳に使用することはできないと取り決めることはできる。テナントが求められた支払いは、矛盾点がないことが確認され期限がくれば支払われるべきだとリースに明記される。監査が行われるのは、年度末から数えて60日以内であり、最も新しい期間の記録しか監査できないものとする。監査は公認会計士によって行わなければならず、結果は機密情報であることを確認させる。

第一所有権
オフィステナントは空きになった隣接したスペースをリースできる第一の権利を要求する。別のテナントがそのスペースに興味を示したら、オーナーはまずこの権利を持つテナントに最初のオファーを出さなければならない。もしこの規定がきちんと協議さていないと、リースの遅れや、ひどいときには、権利を持つテナントからの返答の遅れによりリースを逃してしまうことにもなる。

対策
この規定は、まずカバーされるスペースをリースの中に示さなければならない。リース期間の中の決められた期間のみこの権利を与えられることもあるだろう(最初の2年間)。また権利の行使は一回のみと決められることもあるだろう。テナントは短い期間(通常2~5日)の間にオーナーに権利を行使するかどうかを伝える義務を持ち、もし行使するなら、リースを7日以内に行われるように求められるべきだ。

交渉上“ただ”の規定など一つもない。各々は物件に与えられる影響を考え、巧みに交渉すべきだ。

リチャード・ムレバ(CPM, CRE, SCSM, RPA)はベルヴュー/ワシントンにあるケネディウィルソンプロパティノースウェストの専務取締役である。彼はショッピングセンターマネージメントとリースを含む商業不動産に関する100あまりの記事と13の共著での書籍を出版している。エリック・ムレバはサンフランシスコのファンデルリアルティの小売ブローカーである。彼の専門は、小売業者が注目を集める通りやモールへ進出する際の代理人としての活動である。

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