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ブレーキングトラディション (“Breaking Tradition”, JPM July/Aug 2006)
先を見るプロパティマネジャーがそのポートフォリオに追加するのは、エキゾティックでユニークである冒険的な物件だ。by Darnell Little
ほとんどの不動産プロフェッショナルにとって、プロパティマネジメントとは日々のオペレーションをアパートメント、高層のコンドミニアム、もしくはオフィスコンプレックスのどれかで行う職業という認識を持つだろう。そして典型的なポートフォリオに含まれるもっともエキゾチックな現場はショッピングモールということになるのであろう。
しかし年々多くのプロパティマネジャーが、スキーリゾート、輸送ポート、ゴルフコースなどの型にはまらない物件の担当を受けるようになっています。それらの物件がポートフォリオの物件数を増やすことによって、彼らはキャッシュフローにおけるチャンスとオペレーションにおけるチャレンジに直面することになります。
「我々のクライアントは今までなかったプロパティに投資することに対して興味を抱くようになっています。」と、デニス・イエスキー(Deloitte & Touche LLPの不動産キャピタルマーケット研究者)。「多くの投資家が今までは第二、第三のプライオリティとしてマネジメントオペレーションを行うのを避けるようにされていたマーケットに目を向けています。」
不動産投資の熱が国中に広まっている現在では、今まで人気のあった物件タイプは魅力があるものが少なくなってきています。それにより創造力のある投資家は新たなマーケットに乗り出すようになっている、とイエスキー。彼が言うには、そのような物件に特化して投資を行えば(ほとんどの投資家がその存在に気づかないため)大きな利益を得る可能性があるという。ゴルフ場やスキーリゾートを所有することは、投資家たちにとってはまるで外国に住むことのような変わった体験になるだろうが、一方でそれぞれに多くの基本的なプロパティマネジメントスキルが当てはまるといいます。
「例えばスキーリゾートにはコンドミニアムがある。そしていくつかの小売店舗がある。」と、イエスキー。「もちろんレストランもある。それらを考えればリゾートといえども未知の領域ではないはずだ。」

[オークランド港のEmbarcadero Parkは海岸線を一望する形で建てられています。そのプロパティはレストラン、ボートデッキやその他ビジネスを所有します。]
“ほぼ”不可能なデベロップメント
CPMであるデニス・ホワイトは、彼のキャリアの多くをユニークなプロパティのマネジメントに費やしてきました。1977年から2004年まで、ホワイトはサンフランシスコ湾に沿って19マイルのウォーターフロントに位置するオークランド港のプロパティの管理を行いました。
その港には全米で4番目に込み合うオークランド国際空港があります。それ以外にも鉄道、トラックが行きかう車道、それらに沿って、オフィスビル、レストラン、小売店舗、ゴルフコース、工業地域が存在します。
およそ30年の間、ホワイトはいくつもの責務をこなしていきました。商業エンタープライズのデベロップメント、リースの分析、プロパティマネジメントなどがそれである。まるでそれは嵐の中で仕事をしているようであったと彼は言います。
「退屈になるときなどはまったくなかった。」と、ホワイト。「毎日が新しい挑戦であり、自分が想像できる最もエキサイティングな仕事でした。」
ホワイトが思い出す記憶に残る大仕事は国防総省が港に隣接する500エーカーの軍事基地を撤去することを決めたときである。ホワイトはその土地を商業系用地としてデベロップメントを行うことを考えたときに、そこに大きなチャンスを見た。
しかしその新しい土地を港のひとつに組み入れる際に、彼は何とかしてその間にまたがるユニオンパシフィック鉄道操車場を取り除かなければいけないことに気づきました。ホワイトはすぐにその作業が一筋縄では行かないことを理解しました。その場所は歴史的な大陸横断鉄道が西海岸で終わったところです。そしてそれは西から東へと物資を送る役目を果たしていた国家的重要遺産ともいえるものでした。当初はその開発計画は実行不可能であると思っていました、とホワイト。
「笑われるだろうと思っていました。」と彼は言いました。「しかし少しでも可能性があればと考え勇気を持って電話をしてみました。私があの鉄道跡を撤去しますと説明すると、あっという間に計画は現実になりました。」
1998年に港はおよそ1500万平方フィートの軍の建物を取り壊し始め、それによりその地理的サイズは二倍になりました。その結果、ホワイトの港のビジネスが好況に転じし始めます。
彼は港のビジネスを行うためにはユニークなスキルと能力のミックスを持つ必要があるといいます。「責任者は創造力がある者でなければならない。(しかし)同時にあらゆる可能性を計算に入れる緻密さを持たなければならない。」と、ホワイト。「そして笑われることを恥と思わない勇気。周りの者が理解しようがしまいが、またそのビジョンが見えようが見えまいが、前例のないことをやりとげるということを常に考えられるようでなければならない。」

[ゴルフコースの7番ホールは、センターポイントカントリークラブにあるタウンハウスの後ろに見えます。]
未完の大器
マックス・ファラシュ(NYのローチェスターを中心に活動しているファラシュコーポレーション創始者)は、ローチェスターから20分程離れたところにあるカナンダイガの400エーカーの一区画を見たとき、彼自身のビジョンを見ました。
彼のビジョンの先には18ホールのゴルフコースが中心にあり、それと共にアパート、タウンハウス、ビジネスパークを持つセンターポイントカントリークラブの開発計画がありました。ほぼ全てのタウンハウスと半分のアパートはゴルフコースを囲むように建っていて、そこからの景色は新たなテナントにとって大きなセールスポイントになる、とジェロルド・ワトキンズ(ファラシュのマーケティング部門長)。
「公園が裏庭としてあり、それが豊かな自然を提供します。」と、ワトキンズ。
しかしゴルフコースのメンテナンスは決して簡単な作業ではありません。ゴルフシーズンは一年を通してのものではない(4月から11月の間)ので、従業員を保持しておくことは困難になります。ファラシュが雇うのはゴルフプロ、グラウンドキーパー、レストランスタッフなど様々で、毎年彼らを呼び戻すのは大変な仕事です。
「その中でもやっかいなのはもう一度訓練する必要のない経験のある者を呼び戻すときだ。」と、ワトキンズ。「腕のいいシェフを年に5から6ヶ月のみ雇うということはなかなか簡単にはできない。」
もう一つの挑戦は160エーカーの芝の維持だ、と彼は言う。
「ここの平均的なロットサイズは3分の1エーカー程でしょう。」と、ワトキンズ。「そこで手入れをしなければならない芝の面積は通常の5倍と考えていいでしょう。」
天気に左右されながらゴルフ芝の手入れをするコツは未だに完全に掴んではいません。ファラシュは最近30年使ってきた水撒きのシステムを新しいものに変更しました。
「最近は乾いた季節が長くなっていて古いシステムは時々動かないことがありました。」と、ワトキンズ。「数日ごとに水を撒かないと大変なことになる。我々は全てのお金をそれに費やしたようなものでした。」
ワトキンズがゴルファーであることはプロパティマネジメントで成功するために必ず必要なものであるということではありませんが、幅の広いスキルセットを持つことはマネジャーとして必要です。
「ゴルファーであることでゴルフ場を理解することは容易になるということはあるであろう。しかしコストを理解し、従業員保持につとめ、先を読むことができるビジネスセンスを持つことが継続して利益を出すために必要なものです。」
ミックスバッグ
スティーブン・ビランは自分が持つポートフォリオの物件種類を上回るプロパティマネージャーを見つけるのは難しいであろうと言う。彼は全米に展開するデベロッパーであるユナイテッドステートスチール社の一部門であるUSS Real Estateのゼネラルマネージャーだ。
ビランの扱う物件のひとつにペンシルバニア州バックスカウンティにあるデラウェア川沿いに建つキーストーンインダストリアルポートコンプレックスがある。そのコンプレックスは鉄道操車場が元あった場所で、いくつかの発電所と汚水施設、スペインの風車製造所もあります。
ビランは彼の仕事を説明するだけでハーバードビジネスレビューのケーススタディが書けると言います。彼は土木工学の学位を持ち、MBAも取得しています。しかし彼はそれでもこの仕事をこなすのに十分ではないと言います。
「フルタイムで働いてもこの仕事は終わらない。」とビラン。「自分は一週間に40時間でここを管理できるほどスマートであると言っていたいものだ。しかし必ずそれ以上時間を割かねばならない。顧客を呼ぶ営業をしながら、オペレーションと管理を行い、既存の顧客のサイトは改善を必要とするのです。」
ビランは彼の顧客の様々なニーズを満たすためのスタッフを用意している。彼のスタッフの学歴はエンジニアリングに関するほぼ全ての学科をカバーする広さがあります。しかしこの仕事に要求されるものはそれよりはるかに複雑なものです。
「技術的なスキルを持っていながら、予算内に仕事を済ませるためにコストに気を配るファイナンススキルを持つ人材が必要とされます。」とビラン。「他に必要となるのは港の管理や汚水の処理作業などで、その時々に必要となる専門知識です。ここの所はコンサルタントを頻繁に雇うことで対処しています。」
不動産マーケットが継続して拡大している中、典型的な住宅とオフィスと異なる物件はより高い伸びを見せている。
「商業系不動産マーケットには有り余るほどの資金が投資先を求めている。」と、Deloitteのイエスキー。「なのでニッチ市場は今とても人気があります。マーケットにある資金を投入すれば魅力ある配当を期待できるでしょうし、この流れはすぐに止むものではありません。」
ダーネル・リトルは、JPMのためのライターです。本稿に関する質問は、kgunderson@irem.org に送ることができます。

[Keystone Industrial Portの俯瞰図。]
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