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ラーニングカーブ
(“Learning Curve”, JPM Sep/Oct 2006)
民営化された学生住宅市場が一般的となった現在、プロパティマネージャーは学生達だけではなく、その両親にサービスを提供する術を学ばなければならない
by Emma Johnson
学生の住居で思い浮かべるイメージとしては、ビールでびしょ濡れにされたカーペット、電話料金をどちらが多く払うかでもめるルームメイト、そして親の監視からの完全な開放を思い浮かべるかもしれません。しかし現在、ベビーブーム世代の親がジェネレーションY世代の子供に望む学生生活は、かつてのものとは大きく異なったものになっています。
子供達の年齢に関係なく、現代の親達はその子供の生活に関わり合いを持つようになっています。授業料、教科書代、住居費など、教育にかかるコストは年々大きくなり、親達は毎年数万ドルの出費を余儀なくされています。そのためその金額の使い道には親からの厳しいチェックが入るということになります。
その結果、民営化された学生住宅への人気が高まりました。学生とその親にとってはトップレベルの生活スタイルを探す手助けとなり、学校としては教育と直接結びつかない住居サポートに対する責任から逃れられる解決策となっています。
膨らむ市場
過去10年の間、大学のコストはインフレ率を上回る上昇を続けています。4500の学校を会員とする非営利団体College Board
による情報では、2005年の授業料は4年制のプライベートスクールで年間約2万1千ドル、そしてパブリックスクールでは年間約5千5百ドルかかります。住居にかかるコストはそれぞれ約2万9千ドルと1万2千ドルに跳ね上がっています。
そういったお金が飛び交う中、親が子供のためにより魅力的な生活空間を求めるようになってきているのも不思議なことではありません。大学経営の住宅ではその要求に答えられなくなってきています、とロバート・ブロンシテイン(学生住宅に特化し、シカゴを中心にデベロップメントとプロパティマネジメントを行うScion
Group 代表)。
20年の内には、かつての書店や食堂(現在は民営化されている)のように、ほとんどの学生住宅が民間の団体によって運営されるであろう、とブロンシテイン。
事実、毎年多くの大学が学生住宅の運営を外部に委託するようになっている。このトレンドは2つの現実に後押しされている。ひとつはこれまでベビーブーマーが利用したドミトリーの老朽化、そしてもう一つが大学の教育に直接関係のない事業の切り離しという方針転換。
「多くの学生住宅は現在子を持つ親のために建てられました。それらは利用可能な期限の終わりに近づいています。」と、ブロンシテイン。

University Center of Chicago
は、シカゴのダウンタウンに位置する、コロンビア大学、デポール大学、ルーズベルト大学共同でのベンチャーハウジングである。
シルバースプーン
学位を取得するだけで目玉が飛び出るほどの出費だというにもかかわらず、親達は自分が体験してきた学生住宅と比べればはるかに立派な民営の学生住宅に惹かれているようだ、とクレイグ・カードウェル(CPM
、Allen and O’Hara Education Services の主任投資役員、Education Realty Trust
の子会社としてメンフィスに拠点を置く学生住宅の管理会社)。
大学が経営する学生住宅は、各大学が好きなように価格設定を決めるため、市場によって価格が決まる民営の学生住宅の方が安くなることも少なくないようです。全国的な賃貸価格は学生一人につきおよそ400ドルから450ドル。西海岸と東海岸では25%程度高くなります、とカードウェル
親達はその子供がルームメイトと生活費を共有しないことを望みます。費用を共有することによるトラブル(ルームメイトの契約前の退去、長距離電話の利用等)はできるだけ避けたいと思っています。そして、それは賃貸料、電気、ガス、水、ケーブル、インターネット、電話、家具までに及びます。
最近の傾向としては、親達はその住居が最新のコンピューターラボや設備の整ったフィットネスセンターなどを揃えていれば多少の出費は受け入れるようになっている、とブロンシテイン。多くの住居はリゾートであるかのように、テニスコートや砂浜のビーチコートなどを持っている、とカードウェル。つまるところ、親達は精神的に安心して子供を送れるところを求めています。
「大学生活がますます高価になるにつれ、より多くの体験を求めるようになってきています。」と、ブロンシテイン。「より良い住施設をそなえた学校は生徒を引き付けるプラスアルファがあると見れます。」

Loft-Right はでポール大学と提携した学生住居開発であり、学生に勉強する場だけでなく、交流の場も与える。
A+ のサービス
民営化された学生住宅から得られる利益は各種設備だけではありません。そこで受けられるサービスも学生とその親両方に魅力的なものになります。
子供への安全について心配する親達は民営化された学生住宅が提供する親への見学会のサービスに喜んで参加します。(学校がではなく)親が住居の提供者となるため学生の年齢に関わらず親のアクセス権があると考えられるのが通常のものとなっています。
「支払いをしている親がその子供が何をしているかわからないということがないよう、私達の基本姿勢はその親からの要望があればアクセス権は全て彼らにあるというものになっています。」と、カードウェル。「親が子の住む部屋を訪ねるべきだといっているわけではありません。私達は、親が持つ心配事というのも私達が取り組むべき仕事の一つだと考えています。」
親達はまた、いざというときにすぐに助けてくれるオンサイトのアシスタントサービスも好んでいます、とカードウェル。このアシスタントサービスは生徒にだけでなく、親が子に連絡が取れなくなったりしたときの連絡先にもなったりもします。
ウィスコンシン州マディソンに拠点を置く学生住宅のマネジメント会社である Campus Advantage
はしばしば大学の学生を管理スタッフとして雇うという。その際には大学内の各団体と連携をとって採用を行う、とウィリアム J. レヴィ(CPM 、Campus
Advantage の代表副取締役)。
スタッフは学生テナント間の様々なトラブルを解決するように訓練されます。それ以外にもブッククラブやデートゲームを開催したり、ニュースレターを発行してテナントに情報を発信するような活動も行っています。
親達は特に社交的なイベントと学業の向上のためのサポートを求めています、とレヴィ。例として試験一週間前のチューター、水泳場でのカヤック講習、映画上映会とその後のディスカッションの集まり、オンラインでのルームメート紹介などがあります。彼は一週間に一つや二つはその種のイベントを行うと言う。
カードウェルはまた、そういったイベントの成功が学生住宅の成功のために必要であると言います。
「生徒を何かに没頭させることは大事なことです。」と、カードウェル。「生徒達は何か面白いアクティビティがないかと自ら探すものですが、それが見つかるまでの空白の時間をあまり長く持たせてしまうのは良いことではありません。」

今日の親達は学生住居におけるセキュリティに対する関心が高い。
狙いを定める
民営化された学生住宅市場は年々大きくなり、その施設とサービスは生徒と親両方に魅力的なものと見られていますが、それでもプロパティマネージャにはマーケティング活動が必要となります。
「大きく分けて2つのマーケットがあります。学生マーケットとその親のマーケットです。」と、レヴィ。「両親はその子供に社交的にも学力的にも成長する場を求めている。多くの子供にとっては初めて家を離れるという機会になるため、両親にも子供にも精神的に大変な時期になります。」
財布の紐をゆるめることができるほどの信頼関係を築くには早いうちに行動することです。一年目の学生が住居を決めるのは、入学からちょうど一年前の秋にすでに決まっているといいます。このことを分かった上で、アレンとオハラたちは高校生に接触するため学園祭に参加すると言います。それはその親にアピールする場にもなります、とカードウェル。
同社は、大学スポーツ競技で配信される卒業生誌や記事に広告を載せることも行っています。これは大学の情報を集める高校生の子供を持つ親をターゲットにした広告手法です。
他のマーケティング活動として、現場でのプロパティツアーがあります。学生が友人や親とツアーをした後、詳細な情報と賃貸料、保証金などが説明された手紙が親元に届くようになっています。カードウェルは
95 パーセントの確率で両親が住居を見に現れると言います。両親の承認はまさに必須なものなのです。
レヴィが言うには、家具を備えたモデルルームをもつことが、両親と学生にアピールするもう一つの方法だと言います。上品でおしゃれな飾り付けと学校のロゴが入ったベッドカバーや
T シャツを揃えた部屋を用意します。
レヴィは、MTVのようなテレビ番組から流行の小売業者の広告キャンペーンまですべてに注意を払うことが、学生住宅マネジメント会社が学生達を理解するために必要なことだと言います。彼はまた、マネジメント会社があまり学生を満足させることに偏ったマーケティングをするのも、親や学校からの反感を買うため、やりすぎにならないようにするべきだと言う。
最後に、マーケティングプランは異なる大学には異なるプランを用意するべきだ、とレヴィ。マーケティングプランの一部はどの大学にもあてはまるということはあるが、全てのプログラムが異なる大学で通用すると言うことはない。
「誰もみんなと同じにはなりたくないものです。」と、レヴィ。「まったく同じ大学は一つとしてありません。市場の変化についていくため、その大学なりのマーケットプランを持つ必要があります。そのためそれに合った学生住宅はとても魅力的になるはずです。各々のコミュニティに個性を与えましょう。」

シカゴにあるイリノイ工科大学はステートストリートビレッジにモダンな学生住居を用意している。
市場を管理する
民営化された学生住宅コミュニティの管理を行うプロパティマネージャには、典型的なアパート管理にはない、様々なサービスの提供が要求されます。そのようなコミュニティを管理することが本当に価値があるかどうかは、管理者のパーソナリティと意欲の度合いによります、とレヴィ。
学生住宅コミュニティと従来のアパートの管理における主な違いのうちの 1
>つは、プロパティマネージャと居住者との間のコミュニケーションの形態です、とレヴィ。学生同士の交流を促すプログラム作りから学生の親との交流活動まで、彼ら顧客とのコミュニケーションはマネジメント活動の大きな部分を占めます。
「学生住宅管理の成功のためには、顧客とより多くの時間を過ごさなければなりません。」と、レヴィ。「顧客と顔を合わせる機会もより多くなります。会計士、リースエージェント、プロパティマネージャという役割プラスアルファが必要となります。」
学生と直接話をして要求に答えるために、レヴィとそのスタッフらは、営業時間をも彼らに合わせるよう調整しました。ほとんどの場合、学生がマネージメントを必要とするのは、9時から6時という一般の営業時間内ではなく、一日の遅い時間になります。早くに起きている学生はたいてい教室にいるものでありアパートにはいません。一日の後半には施設内にいる学生が増えるため、それに合わせて常駐するスタッフの数を決めています。
常駐スタッフのオペレーションは驚くほど複雑です。一時間ごとに必要人員数を割り出し、人員交替を行います。レヴィが言うには、その代わりに夏季やホリデーの時には学生がいなくなるので管理が楽になるようです。
学生達と接するに従いレヴィが学んだのは、時に管理者を悩ませるいたずらを起こすこともあるのだが、世間一般が思うほど彼らはわがままで自分勝手に行動するということはないということだ。しかし、それでも学生住宅コミュニティを管理するには、寛容性と理解をする努力が必要だ、とレヴィ。
「忍耐強くなければなりません。」と、彼は言う。「学生達が彼らの人生の中のどの地点にいるかについて理解しなければなりません。彼らは、彼らの一生の中でも重要な成長する時期にいるからです。」
忍耐は美徳であり、学生住宅市場で成果をあげるために必要です。他の居住系物件と比べ確実な占有率を記録しているため、学生住宅は安定した投資物件であると言えます、とブロンシテイン。
「人口統計が明らかであるのも投資物件としての安定性を証明します。」と、彼は言います。「18歳の人口数が知りたいのであれば、18年前の出生人数を確認すればいいわけです。その数が学校に行くのですから対象顧客の数は永遠に保証されたものであると言っても過言ではないでしょう。」

プールサイドパーティ、アイスクリーム社交会、屋上でのディナーまで学生住宅管理会社であるCampus Advantage は様々なイベントを開催します。
エマ・ジョンソンは、JPM のライターです。本稿に関する質問は、kgunderson@irem.org
に送られることができます。
大学に行こう!そしてコンドを買おう!
学生の親はコンドを自分達のためか、もしくは子供たちの将来のための投資とみています。
近年のにぎわう不動産市場は、あらゆる住宅支出を投資に変える知識豊富な投資家を生み出しました。子供のために多額の出費を強いられる親達もその例外ではありません。
全米のブローカー達は学生の親が、彼らの税率にかかわらず、賃貸ではなく売買を考えているのに気付いています。住宅価格と利率が上昇している現在でも、多くの都市で税引き後の月次支払いは売買が賃貸を下回る傾向が続いています。また、投資熱は未だ冷める気配はありません、と業界識者は言います。
ロバート・ボノは、シカゴのスミスフィールドプロパティの社長であり、同社はダウンタウンの都市大学の学生に人気があるいくつかのマンションプロジェクトを行いました。
「大学の授業料と居住費と食費、それらの出費をできるだけ抑えようという努力の一つだと思われます。」と、彼は言う。「また、それは株式市場より高い不動産市場の投資リターンへの期待の現われでもあります。」
スミスフィールドで学生の両親が買う物件は主に100,000 ドルから300,000 ドルの間のローエンドワンベッドルームである、とボノ。
スティーヴ・プリーベ(マイアミのブリケルにあるSkyline のマーケティングディレクター)は、マイアミ大学に学生を持つ親が2、3年前までおよそ20
万ドルでワンベッドルームを購入していたのが、現在では、それに350,000 ドルから120 万ドルの値がついていると言います。
Boston Condo でエージェントとして4
年間働く間で、ジョナサン・ソロモンは、オールストン、ブライトン、フェンウェイといった、学生の町で購入をする親と取引を行ってきました。多くの親が2
ベッドルームを買い、学生である子供の友人に第2 のベッドルームを賃貸しました。コンドの相場は大体200,000
ドルになりますが、去年はエマソンの親がコンセルジュとプールが供給される物件を479,000 ドルで購入するのを見ました。
またある親は、2人の娘のためにワンベッドルームを購入し、彼女らのうちの1 人のためにリビングルームを寝室に変えました。
「結局その方が借りるよりかなり安くなりましたし、静かな環境が手に入りました。」と、ソロモン。
卒業時はいくつかの選択肢があります。アパートの売却で利益がでないのであれば投資物件として貸し出すことになるかもしれません。マイアミでは、北東部に住んでいる両親のためにバカンス用として保有する事が多くあります。ボストンやシカゴでは、新しいプロフェッショナルとして仕事を始める者にとって住宅所有者になる大きな一歩になるかもしれません。
「住居があるため、都会で仕事を始めるための障害が一つ取り除かれることになります。」と、ソロモン。
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