業界ニュースへ戻る
コンドシズルシマー :コンド市場のトレンド
(“Condo Sizzle Simmers”, JPM Jan/Feb 2007)
識者はコンド市場の景気の冷え込みを予測しています。それによるプロパティマネージャへの影響とは? by Allan Richter
建てれば入居者はやってくる。こう言えたのは今や過去の話である。
デベロッパーとビルオーナーはここ数年間コンドとして活用するビルの建築、コンバージョン、改築に力を注いできました。市場はそれをコンドの金塊、コンドクレイジー、コンドサーカスといろいろな呼び方で表現してきました。
そして現在、かつてのコンドマーケットの熱は冷めてきています。しかし多くの不動産専門家達は、これを好景気の反動としての下落と呼ぶことをしません。代わりに彼らはこの減少を健全な経済に戻る前兆だと見ています。
上昇そして下降
歴史的に見てアメリカの不動産市場は家族のための一戸建てがその多くの割合を占めていました。2001年にコンド市場のブームが始めて訪れたのです。
利率と株式市場が同時に沈んだため、投資家は不動産に目を向けるようになりました。そして特にコンドが代替投資としての注目を集めるようになりました。
「投資家は紙面上での資産に少しずつ不安を感じるようになり、その分形として残る資産を保有することを選択しました。」と、ローレンス・ユン(全米不動産協会の上級経済学者)。
2001年の第2四半期には、コンドの価格は10.3パーセント上がりました。それまでの長い間コンド価格の上昇はずっと一桁でした。この2桁台の成長は、2006年の第1四半期に4.5パーセントの価格上昇を記録するまで続きました、とユン。現在5年の間続いたコンドのブームは落ち着きを見せています。
コンド市場の下降を示す一つのサインとして、投資家とデベロッパーが大量にこの市場から抜け出していることが挙げられます。彼らはかつて賃貸住宅をコンドにコンバージョンしていた者たちです、とダン・ファスロ(NYのリサーチ会社であるReal Capital Analyticsのマーケットアナリスト)。
「コンドコンバーター達のアパートメントコミュニティの獲得の時代は終わりを迎えました。」と、ファスロ。「この市場はブームが始まる前の状態まで一気に下降してしまいました。」
2005年にはおよそ20万のアパートメントユニットがコンドコンバージョンを行う投資家に購入されました。そして2006年最初の8ヶ月の間にコンバージョン目的に購入されたのは6万にも満たない戸数でした、とマイケル・コーエン(ボストンに拠点を置く不動産研究と顧問会社であるProperty &Portfolio Researchのリサーチストラテジスト)。
「コンド市場は今の時点で間違いなく不安定になっています。そしてデータがそれを裏付けています。」と、コーエン。「セオリーとしては、買い手市場となるべきで、価格を見ればそれは明らかです。」
[ラスベガスのコンドの過剰供給は価格に大きな低下を引き起こしています。]
投資家と市場
全米不動産協会の最近のデータによると、全国的にコンドの価格は2005年8月から2006年8月にかけて2.4%下がっています。そして、同時期の一戸建ての価格は1.7%下がっています。
コンドの下落が他の住宅価格より大きな理由は、その投資家がより早く引き上げを行ったからだ、とユン。また一戸建ての下落がコンド程でないのは、コンドの投資家が短期間で増えたからだとユンは言う。その結果としてコンドの投資家は過剰に反応するという事になったのです。
「住宅市場のブームの時期に投資家たちは明らかに人工的な需要の創造を行いました。」と、ユン。「彼らは実際より高い価格の上昇を見込み購入を続けました。価格の上昇がそれほどではないと分かった今、その人工的な需要は消えました。」
全米不動産協会によるコンド価格の下落の2.4%とういう数字は、その数字以上の重要な意味がある、とProperty &Portfolio Researchのコーエン。それは今まで続いてきた2桁台の成長のシフトダウンがこれから来ることを示す、と彼は言う。
しかし、コンドコンバージョンの急速な下降は必ずしも悪いものであるというわけではありません、とコーエン。それは、単に市場が再び平衡を見つけようとしていることを意味します。
「売り上げの落ち込みがあり、売れ残り物件が増え、そこから価格の調整が始まります。」と、コーエン。「平衡を見つけるまで市場は需要と供給を通し価格の調整を続けます。」
ファスロは過剰な建築ラッシュに触れ、市場がバランスを取り戻すのに5年かかると言いました。しかし最近彼は多くのデベロッパーが抜けるのを見て供給過剰が5年間でなく、18〜24ヵ月以内に回復するかもしれないと言いました。
「過去のサイクルでは、市場が減速してもデベロッパーは建築を続けました。」と、ファスロ。「現在のサイクルで私はデベロッパーがブレーキを踏むことを覚えたように見えます。」
地域の経済影響
いくつかの地域では経済予測がはっきりとしたものであるにもかかわらず、建て過ぎが明らかになりました、とファスロ。市場が健康な状態を取り戻すには、市場がこれから消化しなければならない供給量がどれだけ残っているかが問題になります。予測されるのは、どれだけ回復のスピードが速いとしてもコンド市場が安定性を取り戻すのは少し先の話になるでしょう。
地域的に見て、コンドの価格は西部で6.5%と一番の落ち込みを記録しています。その次は南部の4.5%になります。北東部では0.7%の下落となっています。
ただ中西部のみがほんの0.1%ですが価格の上昇を示しています。それでも失業率の上昇が目に付く中西部のデトロイトや北部オハイオのトレドやクリーブランドなどが中西部の数字も下向くことを予測させます、とユン。
経済の動きと投資家の動き、この冷えたコンド市場により影響を与えているのは投資家の動きだ、とユン。
「現在の状況はとてもユニークである。」と、ユン。「過去には大抵の冷えた市場は失業率の上昇などの経済の動きに合わせて動くものでした。しかし今回は安定したジョブマーケットの最中です。投資家の数が減ったことが市場に影響を与える直接の原因となります。」
ユンの予想では価格の下落は2007年の中ごろまでで終わるようだ。フロリダ、ネバダ、アリゾナのようなさらなる労働力が必要とされる市場では価格のリバウンドが始まるだろう、とユン。新しい労働者たちは投資ではなく、所有し定住するためにコンドを購入するため、余分な供給量を減らす動きをもたらします。
しかしマイアミのプロパティマネージャーであるポール・ホワイト(CPM、ポールLホワイトアソシエイツ代表)は、コンドの供給量が正常な形に戻ることに疑問を抱いています。マイアミでは15,000以上のコンドユニットが現在建設中です。その中の12,000がアパートからのコンドコンバージョンになります、とホワイト。
「ほとんどの新しいコンドは$300,000以上の価格となっています。」と、ホワイト。「金利は上がり、建築のコストも上がっています。その上多くの買い手は投資家となっている状況ではいい結果は望めそうにありません。」
市場の回復が望めそうにないとファスロが口にするのは、ラスベガスです。海外からの投資家が多いことからラスベガスは需要量が読みにくい都市のひとつになりますが、彼が言うには明らかな供給過多が問題になっているとのことです。
「途中で棚上げされたコンドプロジェクトの数々を目の当たりにすれば明らかでしょう。」と、ファスロ。「供給過多が解消され、価格が戻るには少し時間がかかるでしょう。」
[マイアミは現在1万5千戸以上のコンドが建設されています。]
コンドビジネスチャンス
この供給過剰の状況はまたあるプロパティマネジャーにはビジネスチャンスになっています。現在の市場の状態を常に把握していることは成果につながるものです。
プロパティマネジャーにとって、管財人(Receiver)になることは、減速する市場において有利に働きます。銀行は管財人に差し押さえ物件をまかせます。そうすることでデベロッパーがそれらの物件を現金化することを止めることができます。
ポール・ホワイトは彼の33年のキャリアの中で35回管財人の仕事をしたことがあります。利点としては彼の管理物件が増えることで管理料が入ること。そして銀行が許せば売買でのコミッションも考えられることです。
「自分としてはとてもよいビジネスだと考えています。払いもいいですし、大抵短期の仕事になります。」と、ホワイト。「裁判所の支持の元に物件を管理するのも問題になりません。」
もう一つのビジネスチャンスとしてはコミュニティ全体の管理をすることです。現存するコンドユニットが多く存在する状況では管理と改善のメンテナンスを必要とされます。そのコミュニティの役員会や関係する金融機関も有能な管理者を求めています。
コンドが特定のエリアに集中し、退職をする人口が増えて彼らがダウンサイズとしての住み替えを始める今こそが市場に飛び込むチャンスです、とカレン・ファー(CPM、テキサス州エルパソで13のオーナーアソシエーションを管理するHiett & Associatesの副社長)。
コミュニティアソシエーションマネージャの責務は少し特殊なものになります。テナントと直接コミュニケーションをとることは少なくなり、よりファイナンスサイドの管理を任されることになります。また数多くのスキルが必要とされるのもこの仕事をやりがいがあるものにしています。
「(コミュニティの管理は、)現在市場の中で最も早く成長しているニッチの一つではないでしょうか。」と、ファー。
この新しいトレンドでは、コミュニティの管理へは目を向けず、居住系ユニットの管理に集中するプロパティマネジャーにもチャンスが存在します。
かつてコンドコンバージョンされた多くのアパートが、また賃貸ユニットに戻されるようになっています。Property &Portfolio Research のコーエンはこのトレンドを“リパートメント(Repartments)”と呼びます。ファスロも多くの投資家がコンドコンバージョンから足を洗って、賃貸アパートに戻るようになっていると言います。そのため、どこであろうと賃貸物件のマネージメントは必要になります。
「多くの投資家が現在の状況から、価値の落ちた物件があちこちに出てくるだろうと考えましたが、そうはなっていません。」と、ファスロ。「エスケープ条項を用いコンドコンバージョンから抜けた投資家はラッキーだったでしょう。コンドコンバージョンで失敗した後はすぐにアパートメントオーナーに売り渡し利益をあげています。まあ当初予想したほどの利益ではないでしょうが。」
ファスロは、活発な労働市場、対処可能な供給過剰状態、リタイヤメント人口の増加などを挙げ、コンド市場のスランプはそれほど長く続くことはないであろうと言います。 ベイビーブーマーはメンテナンスがかからない住居を探しています。ファスロはまた、供給過剰になる地域には好ましい人口統計の傾向(人の流入と経済的な上昇傾向が見られます。)があると言います。
「誰も未来は予測できない。」と、ファスロ。「しかし供給過剰をなくすいくつかの要素が見られることから、比較的早く良好な状況に戻れるでしょう。」
アラン・リッチャーは、JPMのためのライターです。本稿に関する質問は、mnaso@irem.orgに送ることができます。
Copyright © 2007 Institute of Real Estate Management. All rights reserved.
業界ニュースへ戻る