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ワイドオープンスペース
(“Wide Open Spaces”, JPM May/Jun 2006)
先進のモバイルテクノロジーと革新的なオフィスデザインにより、キュービクル(個々のスペースが仕切られているオフィス)からより開けたオフィスに移行している by Diana Mirel
モバイルテクノロジーの進歩のおかげで、今日のオフィスデザインとレイアウトの多くは、四コマ漫画のディルバートに見るようなキューブから開けた形に変化してきています。これらの新しいレイアウトは、しばしばより柔軟な仕事習慣と活発な仕事環境を促す助けになります。
「特に全体的な仕事環境を変える強い働きを与えているものはワイヤレス技術の発達です。」とボブ・ポーター(クリーブランドの商業系デザインと設計を手がけるVoconのスタジオディレクター)。「新しい世代の労働者は完全にコンピューターとともに育ちました。それゆえ彼らは最新技術を利用して効率的にまた柔軟性を持って動く術を知っています。」
オープンオフィスは一般的に多機能、ワイヤレス、共有スペースを特徴とします。典型的なものは低いパネル飾りをされたワークステーションと共有の部屋で、モジュラー家具と、多くは自然光を利用するように設計されます。通路と個室を特徴とする型とは見た目も大きく異なります。
オープンオフィスの概念自体は古いものではないが、数々の先進技術が以前にもまして効率の向上と発明の機会を提供しています。大規模の公社から小規模の民間会社までそのようなスペースを求めています。プロパティマネージャもそのようなレイアウトの長所を理解してきています。
Kolbus Projectを設計する際、Voconはヨーロッパの設計概念を利用しました。全てが低く、オープンになっています。空間は光であふれます。
縮むオフィス
Marcus & Millichap Real Estate Investment Brokerage CO. が行った調査によると、この5年間にわたって1従業員につきの平均的オフィススペースは20パーセント縮んでいます。賃貸されるオフィスにおいて、1従業員におけるスペースは190平方フィートと現在推定されています。
しかしながら、ダン・クック(ジョーンズラングラサルにおける戦略コンサルティングを行うシニアバイスプレジデント)は、1従業員につき100から150平方フィートを実現させる戦略を持ち、テナントのコストダウンを実現している。
ブラッド・ブランケンシップ(ストーバック社、国際不動産顧問のバイスプレジデント)は、かつて100%閉じられたスペースであったオフィスの半分を開かれたスペースに切り替えて、そのクライアントの15年リースにある不動産関連コストのうち、340万ドル抑えることを実現させた。オープンデザインを取り入れたこの戦略によって3万平方フィートものスペースが削られました。
「どのような会社でも大きな部分を占める2つのコストは、給料と不動産コストになります。」と、ブランケンシップ。「もし不動産関連のコストを削ることができれば、それはその会社の大きなステップになるはずです。」
エリック・バイクラー(商業系不動産のサービスを提供するモーアパートナーズのマネージャー)は、モーア社のほとんどのクライアントが33%の閉じたオフィススペース66%の開かれたオフィススペースを実現している(これは業界全体のトレンドでもある)。彼が言うには、特に傾向が強いのはダウンサイズのため雇用が縮んでいる会社で、柔軟性を求めるためにオープンスペース志向になるという。
「この流れは組織と会社の成長のための戦略が大きく変わっていることを表す。」と、バイクラー。「柔軟性は社内での異動を必要としなくとも戦略を変更できるためその組織が素早く大きなチャンスを掴むことが可能になります。」
オープンドアポリシーよりオープンオフィス
オフィスデザインのこのような変化は小型化されたモバイルテクノロジーの変化から生じます。
(Voice-over IPと称される)インターネット上で利用されるラップトップコンピューター、ワイヤレステクノロジ、そしてボイスコミュニケーションなどはオフィスの柔軟性と開放性を高めます。それ故、共有される会議室やワークステーションが採用されバーチャルオフィスがどこにいても利用できるようになって来ています、とバイクラー。
「従業員はどこの椅子に座っても代わらず業務ができるようになっています。」と、クック(ジョーンズラングラサル)。「データラインのテクノロジーにより、人々がどこでも働けるようになっています。」
オープンオフィスワークステーションは一台の軸になる有線のワークステーションを持ちます。それが個人のオフィスに自由度を持たせ、それぞれのワークステーションは利用者の好みのままにセットアップできます。
マーク・マーギュリーズ(AIA;ボストン、設計とインテリアデザインのマーギュリーズ&アソシエイツ代表)は彼の会社がデザインしたオフィスは(彼の会社自体を含めて)配線がどこにでも向くように設計されているという。
「より多くの人が隔離されることを嫌い、オープンスペースは柔軟性を持った仕事習慣と平方フィートの節約の両方を与えます。」とマーギュリーズ。「これらは確実に顧客のニーズになっています。」
VoconのRoss Environmentalプロジェクトではエグゼクティブはプライベートオフィスの延長として、共用のコラボレーションオフィスを活用できるようになっています。
テクノロジーのワンステップは全てのビッグステップ
コンピュータハードウェアのサイズが絶えず小さくなっている現象もオープンオフィスに大きな影響を与えている、とブリジット・プレストン(テキサス、インテリア設計のラックグループ設計部門長)。フラットスクリーンの量産がワークスペースの広さの上で最も大きな影響を与えました、と彼女。
オースティン/テキサスで行ったグリーンマウンテンエナジープロジェクトでは、プレストンはフラットスクリーンを導入することで90度コーナー型のワークステーションではなく120度ブーメラン型のワークステーションを用いてスペースを節約しました。
120度ワークステーションは床面積ごとに設置できるワークステーション数を劇的に増加させ、全体の必要スペースを減少させます。
スペースをとるファイルキャビネットをデータベースに切り替えるのもオフィススペースを減らすテクノロジーの一つです。トム・ポルーシ(設計士;HOKシカゴのデザイン部門長)は今までのファイルキャビネットは不動産コストの大きな部分を占めてきたと言う。
ポルーシのクライアントがコンサルタントを雇って計算したところ、キャビネットのコストはその必要面積を考慮すると1フィートにつき年$1000であるということが分かった。そして30のファイルキャビネットは年3万ドルの賃貸料ということがわかる,とポルーシ。
ポルーシが言うには、年々多くのクライアントがオフィススペースの削減を考慮して電子ファイリングシステムを取り入れているという。
「オフィススペースを物の置き場にするのではなくて、人の置き場にするべきです。」と、ポルーシ。「その方が効率は上がります。テクノロジーはまた情報へのアクセスのしやすさもあげてくれる。」
HOKシカゴはコンクリートのフロア、低いパネル、ペンダント照明を利用し、近代的でオーグルビー&マザーが求めるロフトのようなオープンスペースを実現しました。
テクノロジーに対応できる物件の必要性
建物のオーナーとマネージャは、最新の電子と通信テクノロジーに目を向けなければならない。それをサポートする建物の構造を用意することは重要なことだ、と業界の専門家は言う。
非常によく利用されるようになったもののひとつに床下配線によるデータ通信が挙げられます。データ通信用の配線を各テナント間にスムーズに設置できるようになります。
テキサス州アディソンのコール開発社は現在オープンフロアプランでなおかつ全体のデザインを損なわないようなインテリセンターと呼ばれるオフィスビルのモデルを開発中です。この建物の特徴のひとつは14インチ高くなったアクセスフローリングです。
「高くなったフローリングでテナントは、スペースと人員配置の自由な変更ができるようになります。その低いコストに対して大きな効率の改善を素早く達成することができます。」とマイク・ロザモンド(Koll社バイスプレジデント)
音響関連のテクノロジーシステムの進歩も昨今のオープンオフィスデザインへの広がりを後押しするものです。プレストンは従来のパネルで構成されたキューブは音のプライバシーを守る、またオフィスのノイズを減らすという点において期待されていたほどの効果を発揮していたわけではない、と振り返る。
ホワイトノイズテクノロジーと呼ばれるオフィス内に低周波音を発生させるシステムは、多くの場合好まれる解決策です。またファイバーグラスの天井タイルはノイズレベルをコントロールできます。プレストンはサウンドマスキングはおおよそ1平方フィートあたり$1で構築できるものと見ています。
「最大のパラドックスは、チームとして働くことを好まないものはほとんどいないのだが、一方で音のプライバシーは誰もが必要とするものであることです。」と、プレストン。「最新の音響技術(特にホワイトノイズテクノロジー)は、その背反した要望をかなえる解決策になっています。」
DON’T WORRY BE HAPPY
モバイルテクノロジーの発達によってオープンオフィスの流行が広まる中、ジョーンズラングラサルのクックは今もなおオフィスで働くということの重要性が弱まることはないという。それはつまりオフィス市場が下降することはないということも意味する。
「始めはこれで長い目で見るとスペースのニーズが低くなっていくのだと思っていました。」と、クック。「しかしそのようにはならないでしょう。(オープンオフィスは、)単純にビジネスの柔軟性を提供するものです。我々はこれまでスペースのニーズが低くなっているという報告を受けたことはありません。この現象は、スペースの利用方法が変わってきているということで説明されるでしょう。」
結果として、プロパティマネージャはオフィス市場のオープンオフィストレンドとモバイルテクノロジーの進歩を否定するのではなく、積極的に取り入れるようになっている。
「柔軟性を持つオフィス環境は通常より狭いスペースをリースすればいいという単純な話ではない。」と、ストーバック社のブランケンシップ。「それらの企業は成長しているという事実ひとつとっても広いスペースを必要とする理由になる。広さの問題ではなく、効率的にスペースを使うというのが本来の目的であろう。」
ビルのオーナーが直面しているひとつの課題は、新しいテナントのテクノロジーに関するニーズを満たすことだ。オープンオフィスは入居時のセットアップコストが低いため大きなアドバンテージとなっている。
一般的に、テナントは退去時に全てのケーブルを撤去するようになっています。しかし最近はプロパティーマネージャが契約の際に配線をある程度残すように要求することができます。モーアパートナーのバイクラーは、退去していくテナントはケーブルを完全に撤去する必要がなく、新たに入居するテナントは配線から始める必要がなくその分コストを削減できることになります。
「より多くの企業がオープンオフィスを“引き継ぐ”ことを選択しています。」とバイクラー。「それが最終的にオーナーに利益をもたらすことにつながります。なぜならオーナーへの費用負担も少なくなるからだ。カーペット、塗装、清掃、もしくは受付のデスク、そういったもののコストを最小限に抑えることが可能だと考えられる。ゆえにオープンオフィスはよりリースがしやすいと結論付けることができる。」
スペースを抑えて、出費を抑える
プロパティマネージャへの利益が上がることは理想とするところだが、投資家は革新的なデザインや最新のテクノロジーにどれだけ投資していくか慎重に見極めなければならない。
業界の識者の多くはオープンオフィスは建てるにあたっても、オペレーションのコストを見ても他の手法より優れていると言う。ブランケンシップの分析では、キューブで仕切られたオフィスはドライウォール、ドア、照明システムなどを考慮すると1平方フィート当たり$22か$23のランニングコスト、一方でオープンオフィスは1平方フィート$16とみられる。
モジュラー式家具システムとテクノロジーはオープンオフィスでの2つの大きなコストだ。しかし、キューブ式のオフィスでも同じくらいのテクノロジーコストがみられる。
もちろん会社がその構造を大きく変え、オフィスのデザインもそれに伴って変更するならばそのコストが大きくなるのは不思議なことではないだろう。仕切りの変更、HVACや用途規制の法律、そして電気構造の変更が主なコストとして挙げられる。
「オープンオフィスへのイニシャルコストは少しばかり高くつくかもしれない。」と、ブランケンシップ。「しかしオフィスの効率化を長期的にみればコストの削減になるはずです。」
ジョーンズラングラサルのクックがAgilent Technologiesを顧客に持ったとき、彼は個別のフルサービスワークステーションを撤去し80パーセントを社外で活動することを可能とするモバイル環境を構築した。クックの試算ではオンサイトで全ての従業員が毎日活動していたときは1従業員につき年間$7500から$8000のフロアコストがかかっていた。しかしAgilentが一ワークステーションのフットプリントを減らし、従業員が必要なときだけに出社し空いているワークステーションを利用すればよいモバイル環境をつくりあげた結果新たなコストは$3000から$3500となった。
「オープンオフィスは大きな価値と大きなコスト削減を生み出します。」と、バイクラー。「オープンオフィスは柔軟性を取り入れたい成長企業にうってつけの形になります。」
「キーとなるのは変化するオフィスの構造だけではなく、それに伴うサービスとサポートの質の向上です。」と、クック。「もし正しい目的で利用するならば失敗することはありえないでしょう。」
ダイアナ・マイレルは、JPMのライターです。本稿に関する質問は、
kgunderson@irem.orgに送られることができます。
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