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回復の状況
2012年のオフィスと小売セクターは、慎重に楽観的な見通し
JPM2011年11-12

ダイアナ・ミレル著

今までの不況と違って、今回の景気後退の回復は、脆弱でもろいものです。特に2008年のレベルに比べると、経済はだんだんと回復していますが、平均的なアメリカ人やビジネス・リーダーたちは、未だに慎重です。おそらく、不動産ほどこの「大不況」のインパクトを感じている業界はないでしょう。

キャシディー・ターリーのチーフエコノミストであるケブン・ソープ氏は、こう述べています。「これは、痛みを伴う長い借金投資解消プロセスです。私たちは、過去10年間に借金を負い過ぎたのです。今回の景気回復においては、強さと弱さの両方を垣間見ることになるでしょう。」

この不確実な回復においてはすべてがそうですが、オフィスと小売セクターの回復も、変動が続くでしょう。

「マクロ的に見ると、オフィス・セクターは回復段階の中間にあり、小売セクターは、片足が回復、片足が悪化の段階にあります。」とソープ氏は述べています。

住宅の値段はまだ空前の低さで、完全な回復にはまだ時間がかかりそうです。家の値段が安定するまでは、消費者支出が低迷し、オフィスや小売セクターの回復も遅れるでしょう。

現状
オフィス市場も小売市場も、需要が落ちて空室率が上がり、困難な状況にあります。しかし、四半期ごとに比べると、オフィス市場は継続して改善しています。CBリチャード・エリス(CBRE)によると、全国の空室率は、4四半期、継続して下がっており、今は16.2%です。最も強い市場は、玄関口となる市場で、ニューヨーク市、ワシントンD.C.、ボストン、サンフランシスコなどがそれに含まれます。オフィス市場が最も弱いのでは、住宅価格の低下が続いている地域で、アリゾナ、ネバダ、フロリダの一部などです。

経済基盤が多様な地域は成長しています。例えば、キャシディー・ターリーによると、シリコン・バレーやサンフランシスコ湾岸地域は、テクノロジーの基盤が強く、オフィスの家賃は急上昇しています。

また、この不況はもともと金融危機で始まったわけですが、金融サービスの強い市場は回復しています。

「金融市場が不安定であるにもかかわらず、投資家は、米ドル建ての投資媒体に一斉に乗り込んでいます。」とCBRE南北アメリカ研究部長のアシー・マンソール博士は述べています。
回復は非常に遅いですが、オフィス・セクターは回復状態にあります。

ヒューストンのオフィスと小売の混合ビルであるヒューストン・センターの不動産管理部長、フランク・スターツCPMは、こう述べています。「[ビジネスは]成長していますが、以前ほどの速さではありません。少しずつ段階的に成長しています。慎重に成長しており、人を詰め込んでいます。人口密度が高くなっているのです。」

スターツ氏の話では、不況の前なら1階分全部拡張するような会社が、今は250-500平米くらいしか拡張しません。

小売セクターの回復はずっと遅れており、過去を見てもオフィス・セクターよりひどく落ち込みます。2011年5月のキャシディー・ターリーの小売レポートによると、空室は10.9%に落ち着いているようです。CBREの調査では、2011年第二四半期の小売の空室率は13.3%に上がりました。

しかし、小売セクターは苦闘しています。「小売は、どのようなものも、需要が低迷しています。」とマンソール氏は述べています。

スターツ氏も同感です。「小売は非常に厳しいですね。意気込みが全くありません。」

消費者支出は上がり、労働市場もよくなっていますが、キャシディー・ターリー小売レポートによると、住宅復興の遅れが小売の回復に最も大きな打撃を与えています。

マンソール氏によると、小売は、市場が二つに分かれています。

「脆弱なショッピング・センターは非常に悪いですが、強い市場の強いショッピング・センターは非常にいいです。このような状況でも、強いショッピング・センターは、小売店が集まってきます。」

例えば、ジョーンズ・ラング・ラサールの不動産管理小売部長のキャレン・ラケット氏によると、AクラスとBクラスのショッピング・センターは、だんだんと回復しており、売り上げが3-6%伸びていますが、Cクラスのセンターは、1-3%の範囲です。

「高級品の売り上げは、高所得者層の消費者が不況の影響を受けていないので、[2011年の]前半、上昇し続けています。」

同時に高級小売店が値段を下げて、短期のセールをすると、中流市場の需要が減ります。「市場の中間層が減速して、縮小しています。」とソープ氏は述べています。

割安の店は今日非常に人気があり、ノードストロム・ラックなどは成長しています。またコストコやBJ’sなどの量販店も、かなりの成長を続けています。

「消費者は必需品に目をつけて、節約のために大量購入しています。」とラケット氏は述べています。

なぜこうなったか
「不況は、私たちの文化と、買い物の仕方や優先順位のつけ方に大きな影響を与えました。」とスターツ氏は述べています。

小売の回復を最も妨げているのは、高い失業率です。実際、失業率が米国平均より低い市場は、小売の需要の強い立ち直りを見せています。キャシディー・ターリーによると、2011年5月、経済はたった54,000の非農業雇用を生みました。雇用創出は、2010年10月から月平均160,000の新しい雇用を生んできました。2011年の5-6月の失業保険金の請求は、約420,000です。

しかし、経済学者は、最近の景気の低迷が、米国の雇用の成長を2011年年末まで妨げるであろうと予想しています。キャシディー・ターリーによると、良好な企業収益と雇用の関係が雇用を生み出し、2012年の米国経済は、月に175,000の割合で雇用が増えていくであろうと言うことです。しかし、失業率はたぶん8.5%以上にとどまるでしょう。

失業率は消費者支出に影響を与え、小売店の展望に重くのしかかっています。

マンソール氏はこう述べています。「失業率が高いと、家族はまた貯金を増やさなければならず、家の値段も下落が続きます。これも、消費者へのインパクトの一つです。」

ガソリンの値段の上昇も、小売の回復の減速に大きな役割を果たしています。キャシディー・ターリーによると、ガソリンが$1上がるにつれて、米国の消費者は、燃料に1340億ドル余分に支出し、その半分以上が、米国の財源ではなく、海外の産油国に流れるのです。

「この再配分が、直接、小売のスペースの需要を下げるのです。」とソープ氏は述べています。

オフィスの場合、景況感は、債務限度の討論、S&Pによる米国信用度の格下げ、精彩を欠いた経済予想などによって、動揺しています。景況感が悪くなると、直接的にオフィス・スペースの需要が減ります。

「プロジェクトは準備が整って、融資も受けて、すべて準備完了。しかし、意思決定者が、混乱がすぐにやってくると感じ始め、プロジェクトが延期されるのです。」とソープ氏は述べています。

企業縮小と廃業
企業縮小はオフィス・スペースの需要を削減しましたが、最近の雇用成長で相殺されています。

ソープ氏はこう述べています。「米国の経済は、去年の1月から、正味500,000のオフィスの雇用を生み出しました。まだ縮小している企業もありますが、利益を上げている会社は、空いたスペースをまた専有し始めています。」

ほかの何よりも、オフィスのテナントは、従業員をより狭いスペースに収容しています。不況前は、オフィスは、通常、従業員一人当たり平均18平米余りでした。しかし、ソープ氏によると、今は従業員一人当たり16平米以下まで減っています。

スペースの有効利用は、オフィス・テナントの最優先の問題です。多くの会社は、小さなオフィスと、従業員が集まる大きな会議室やコンフェレンス・ルームを組み合わせて使っています。

スターツ氏曰く、「そうすることによって、会社は、より多くの人を高い密度で部屋に入れることが出来るのです。90年代は、オフィスと言えば大体3メートル×6メートルくらいでしたが、今は3メートル×3メートルです。そうすることによってより効率的な間取りになり、会社は、かなりの金額の家賃を節約できるのです。

小売セクターでは、縮小や閉店が続いていますが、2010年ほどのペースではありません。

「これはすべての消費者支出につながっており、物事が安定すれば、今までよりは良くなると思います。」とソープ氏は述べています。

閉店は、これからも減り続けるでしょう。ラケット氏によると、2010年から2011年にかけて、小売は10%拡大したと見積もられており、その成長のほとんどは小さな小売店です。ギャップやヴィクトリア・シークレットなどの大きな全国的な小売店は、既存の店舗を強化し、成績の良くない店を閉めることに焦点を当てています。

また、多くの小売店は、店を縮小して、適切なサイズにしています。

「450平米の小売店が320平米にしたい、という感じですね。」とラケット氏は述べています。

注目すべきトレンド
活力に満ちたショッピングを経験してもらうことが、ショッピング・センターの人気のあるトレンドになっていますが、それは、実際にセンターに行く理由を消費者に提供するからです。

「どういう経験をするかということは、私たちのショッピング・センターの成功には欠かせないものです。」とラケット氏は述べています。

例えば、ジョーンズ・ラング・ラサールのミネアポリスにあるローズデール・センターには、子供や家族にアピールするアメニティーがあります。小さな子供たちのための一列に並んだ遊び場だけでなく、センターの共用部分に列車が走っており、大きな子供たちの間で非常に人気があります。

ラケット氏は以下のように述べています。「これは、親御さんが[子供たちを]モールに連れてくる理由になります。私たちは、地域社会と触れ合うアメニティーやイベントに焦点を合わせています。私たちは、総合的な経験を創造して、消費者と触れ合うようにしているのです。」

また、小売店は、密集した都会で、面積を狭くしています。例えば、ウォルマートは、シカゴに初めて小規模の店を出しました。面積は、約900-1400平米で、標準的なウォルマートの約10分の一のサイズです。全国で一番の小売店であるウォルマートが、流行を作る会社であることは間違いなく、もしこの小規模店舗が成功すれば、ほかの小売店も真似をするでしょう。

小売店のスペースの使い方にも、変化が起きています。

スターツ氏はこう述べています。「空港のように一列に並んだ小売店が増えていますが、特にレストランが多いです。レストランは狭い場所をうまく使って、共用部分の席は管理会社に任せています。このモデルは、間接費を下げ、家賃を払えて利益が出来ますので、非常にうまく行きます。」

スターツ氏は、この空港スタイルの小売店が、特に中心街の市場で成功すると考えています。

「中心街で働いている人は、空港にいる人とよく似ていて、何かを買ってすぐに出なければならないのです。歩き回ってぶらぶらすることはありません。タフな市場で、面積が広いほど大変です。」

将来は
経済不安が再浮上し、小売業界は第三第四四半期に注目しています。しかし、今回は、嵐を乗り越える準備が整っているかもしれません。

マンソール氏は以下のように述べています。「小売店は、貸借対照表を改善するために、脆弱な店はすぐに閉めました。経済が回復すれば、将来、小売の財務状況はずいぶん良くなるのではないかと思います。・・・ボーダーズのような、どう考えても大き過ぎる小売店は、もう破産してしまいました。ですから、小売セクターは、全体的に見てずっと健全だと思います。将来、都会の小売店の新しい概念など、[小売店が]新しいコンセプトを出してくるでしょう。」

オフィスに関しては、キャシディー・ターリーの2011年第二四半期のU.S.オフィス・トレンド・レポートは、オフィス・セクターが、ゆっくりではあるが回復を続けると予想しています。レポートは、年末までに生まれる雇用は100,000以下だが、2012年に雇用創出が最加速すると予想しています。また、レポートは、「正味吸収はまだまだ不安定ですが、空室は徐々に低下し、家賃は少なくとも2012年末までは低調が続く」と述べています。

「世の中は適切な反応を示しています。小売とオフィスのテナントは、意図的にゆっくり動いています。」とソープ氏は述べています。

全国的に回復の兆しが見えるようになって、不動産市場は全体的にまだまだ慎重ですが、将来を楽観視しているようです。


ダイアナ・ミレルは、JPM®の寄稿者の一人です。この記事に関して質問のある方、あるいはJPM®に寄稿したいIREMメンバーは、マリアナ・トスカス・ノワック、mnowak@irem.orgにメールしてください。

 

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