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ミキシングアップ! (“Mixing It Up”, JPM Nov/Dec 2005)

都心から郊外まで広がるミクスドユースデベロップメントのブームが建物のイメージを塗り替える by Darnell Little

デベロッパーとプロパティマネージャーは贅沢さと便利さを兼ね備えたミクスドユース(複合利用)が、年々増える裕福なテナント層に求められていることを実感している。

居住物件の一階を占有するビジネスはもはやローカルの小売業者だけの戦略ではなくなっている。居住物件内の小売店舗は成長企業のスマートな戦略であり、ミクスドユースデベロップメントは全国的なトレンドである。

ミクスドユースプロパティの急成長 小売店は垂直型コミュニティをミクスドユースプロパティの理想と考える。ホールフーズ、セイフウェイ、スターバックスなどの大型チェーン店は垂直型コミュニティの入居者をキーカスタマーとするアプローチを続けている。

それに加え、都市計画の観点から見れば、垂直型のコミュニティは効率的な土地利用ができる。そして地上一階には商業系リースを行う動きは、ニューヨークやシカゴなどの都市の中心にいるデベロッパーだけの考えではない。第一および第二環の郊外と中小の町でも同様の動きが見られる。

「(ミクスドユースの)成長がシカゴのような大きな都市からここプルマン(ワシントン)まで移ってきたのを見てきた。」と、グレン・クレリン(ワシントンセンター、不動産リサーチのディレクター)。プルマンは人口およそ25,000人の町である。「過去15年の間、我々は統計で分類できないなにかが起こっているのを感じていた。しかし何かが起こっているという証拠はたくさん見られた。」

ミクスドユースデベロップメントの好況はプロパティマネージャーにとっては大きなチャンスとなり得る。地上一階は居住者やオフィスのテナントが好まないため賃料が低く設定されることが多いが、そのスペースに最も適した小売のテナントを見つけることができれば他のどのフロアより利益を生み出すものにもなる。

「裕福なテナント層の利点、それはクロージングの短さ、そして賃料回収の容易さ、なぜなら一つの小売のテナントが複数のフロアを借りるからだ。」と、デイビッド・ガント(シカゴ中心部にあるマリーナタワーを含めた、複数のミクスドユースビルディングを管理するシカゴエリアのプロパティマネージャー)。「プロパティマネージャーがすべての要素を考慮し、それらが噛み合う時には、成功は保証されたものである。」

マッチメーキング ミクスドユースプロパティで利益をあげるキーはテナントの選定である。地上一階のテナントはその建物全体の顔になるため、そのテナントのイメージが建物のイメージとなる。プロパティマネージャーはその小売店舗がその建物のビジョンに合うかどうか判断し、将来的にビジョンが変化することも考慮しなければならない。

「地上一階の店舗は地域のコミュニティに根付くことができるものでなければならない。」と、スティーヴ・ウィルソン(全米に150のアパートメントコミュニティを所有または管理するアバロンベイコミュニティーズ副社長)。

ウィルソンは小売業者を規模の大小や、レストランかカフェかという種類を元に優劣をつけることはない。全てはコミュニティの情勢とデベロップメントのビジョンと一致するかである。


「基本は近隣住民にサービスを提供する小売店、それと生活を快適にする設備だ。」と、ウィルソン。「コミュニティに加えるべきサービスは何かという問いを常に持つことが必要だ。」現在アバロンベイはマンハッタン地区でスーパーマーケット大手のホールフーズマーケットを地上一階に加えるプロジェクトに取り組んでいる。「たくさんの居住者をかかえるこのコミュニティには完璧なマッチである。」

コミュニティだけでなくホールフーズマーケットもこの形態に満足している。ホールフーズがターゲットとするキーカスタマーを都会に住み会社勤めの比較的若い層としているため、住宅が密集したマンハッタンののような地区は理想とされる場所になる。現在ホールフーズがミクスドユースを利用している店舗はニューヨーク、シカゴ、ポートランド、サンフランシスコ、ボルチモア、そして近いうちにシアトル、マイアミ、ミネアポリスが計画されている。

「密集した都市の難点は上がり続ける不動産価格である。」と、ジム・サッド(ホールフーズ副社長)。「理想を言えばホールフーズ店舗のみで建てたいものだが、土地の価格が非常に高いためなんらかの方法でコストを下げなければならなかった。その唯一の対策が上階にオフィスか居住階をもつことだった。」

小売業者が遅滞なく賃料を払いつづけられるか、という点も大きな懸念材料である。プロパティマネージャーとしてはホールフーズのようなメジャーな小売チェーンとのビジネスは賃料遅滞を恐れる必要はない、とガント(シカゴ地域のプロパティマネージャ)。しかしスタートアップカンパニー等とのビジネスは事前調査を必要とし、そのセレクションが勝ち負けを決定付ける。

「マネージャーにとって最も不名誉なことは、建物一階の明りが灯らないことである。」と、ウィルソン。「小売店舗の空きスペースを抱えているということは、まさに目の上のたんこぶである。なぜならそれが潜在的入居者に好印象を与えるというのはありえないからである。またそれは全体のプロジェクトからみても最も目に付くところになる。」

マルチプルユース=マルチプルチャレンジ
小売と居住のテナントを同時に持つことはいくつかのアドバンテージを持つ、しかしその一方、たとえ信用のあるテナントを獲得してもそれがマネジメントのチャレンジを全て解消するものではない。プロパティマネージャーはテナントと入居者の混在したニーズを見極めるために日々悪戦苦闘している。気を配らなければいけない点は、プロパティ全体の機能とミクスドユースに慣れていないテナントへの対応だ。

「ミクスドユースを扱うプロパティマネージャには、2つの頭が必要だ。」と、ガント。「1つめの頭は居住者のためを考え、ユーザーフレンドリーであることができること。2つめの頭は商業系のテナントを考え、タフな決断ができること。テナントに向かって、入居者と建物全体の利益を考えれば、あなたたちはこの契約とこのルールに従うように、と言うことができるほどタフでなければならない。」

駐車場は小売業者にとって常に問題になるところだ。小売業者は顧客のためのオープンで駐車料金の発生しない駐車場を希望するが、居住者は各自にスペースが確保されることを望む。そして小売業者は建物周辺を沢山の人が通行することを好むが、居住者は自宅の周辺が人でごった返すのを嫌う、とエド・マッキーガン(ロサンゼルスにあるメイリアルエステイトサービス社長)。

プロパティマネージャはまた小売業者をコントロールする権限を持てないことで頭を痛めるだろう。小売業者のビジネスがうまくいっていない時にプロパティマネジャーができることは限られている。オーナーと店舗がパートナーを持つ、ショッピングモール等とは違い、ミクスドユースの小売店舗は大抵の場合オーナーに縛られない自治を持つ、とガント。

「プロパティマネージャは小売業者にビジネスの方向性、地域とのコミュニケーションの取り組みなどに口を出すことができない。」と、ガント。「そのため、そこのマネージャーはたいてい受身になっている。」

そのようなタイプの違いを除いて、日常業務となるゴミ、雪の除去、セキュリティ、騒音、建物の景観などもより困難で複雑になる。業務を困難にさせる一番の要因は入居者にもテナントにも当てはまる「ミクスドユースの中で生活をしているという認識の欠如」だ。入居者とテナントを教育していくということはプロパティマネージャーの大きなチャレンジの一つである、とティム・ブロムス(ミネアポリスのシティーズマネジメント代表)。

「ツインシティーズでは、住人たちがコミュニティーに住み、生活とスペースを共有するという意識に欠けていることが大きな問題になっています。」と、ブロムス。「同時に、自分達の上階に住人がいるということを経験したことがない小売業者がいる。それらの2つのグループをうまくやっていかせることはチャレンジである。」

サンディエゴにあるミクスドユースビルディングのプロパティマネージャーは居住者の教育を行う際に同じような問題を経験する、とトム・オルソン(チャンピオンデベロップメントのプロパティマネージャー)。チャンピオンはパサデナコレクション(パサデナの金融地区のマンション+小売デベロップメント)を管理している。

「多くの居住者が、特にサンディエゴのような比較的新しい都市開発環境には、自分達が周りとのコミュニティを作っていくということを本当に理解しないと思う。」と、彼は言う。「これらの人々は都市環境で生きることの全ての良い面を見る。しかし、彼らは欠点の一部を理解しない。駐車場問題、騒音問題、夕方も遅くまで多くの人が地上階の施設を行き交う。付近の通行者も交通量もより増えることになる。ニューヨークの住民であれば当たり前のこととして受け入れることができるが、場所によってはそういうわけにはいかない。

プロパティマネージャーからの詳細説明
詳細を記したリースの作成。建物の特性=複雑さ、を克服するには必要な作業である。

「居住用テナントのためのリース同意書はシンプルなものである。しかし、小売業者のリースは規定を詳細に記すものになる。」と、マッキーガン。「居住者への請求費用分ははっきりしている、ガス、電気、ケーブル。小売業の入居者への請求はどうしても不透明なものがでてくる。2階に行くエスカレーター、これをそのテナントに請求すべき?駐車場の利用料金はどれだけ請求する?」

駐車場の使用スペースをはっきりと分けるべきか、共有スペース(ロビー、ゴミ捨て場)、開店準備/営業時間の設定。プロパティマネージャーは小売と住居の両方のグループが生活をはじめる前に全ての問題に対する費用負担分とそのオプションについて注意深く計画を練らなければならない。

リンダ・アロズ(パサデナコレクションにあるダーモロジーメドスパのコーオーナーであり建物一階の入居者)はミクスドユースのリースを見たときにすぐその複雑さに気付いた。

「85ページのリースを全て読み、理解し、それを元に交渉するということを言われたときには頭が痛くなったわ。」と、アロズ。

彼女のリース合意書には、共有スペースにいくら払うかから、駐車場の利用料金、改装の際の業者が工事のために騒音を立てることができる時間帯まで、すべてが網羅してあった。彼女は事前にオーナーが提示したよりも多くのエアーコンディショナーを設置することを望んでいた。リースにはそれを許す代わりに毎月いくらオーナーに払うべきかが記入されていた。また、パサデナコレクション側は彼女のスパが週7日でオープンすることを望んでいたが、スタートアップビジネスとしてのリスクを考え、アロズは交渉の上週6日との取り決めを交わした。

「私にとってはそれは得がたい学習経験になった。そして、多くを学んだ。」と、アロズ。彼女はそのアップスケールで洗練されたコミュニティがその地域に住む裕福なホワイトカラー層にぴったり来るものだと考え、リースを得るための全ての勉強を自分で行った。彼女のスパにとっても必要なロケーションであった。

「ここの空室率は非常に低い。」と、彼女は言う。「それに加え、地域住民の形態が自分のビジネスとマッチすることは何よりでも重要である。」

富の分散
都市化されていく近郊地域がまた、ミクスドユースの爆発的な増加を生んでいる。プロパティマネージャーであるブロムスは、ツインシティーズ地域でおよそ2ダースのミクスドユースプロジェクトに取り組んでいる。たいていが都市近郊の地域だ。

「ツインシティーズでは、ミネアポリス中心部とセントポール都市部においてはミクスドユースプロジェクトはごくわずかである。しかし、多くのそのプロジェクトが郊外にある。」と、彼は言う。「今それができる残された土地も少ないものになっている。大体の通りの角は元の小売店舗が取り壊され上階にアパートを持つ新たな小売店舗が建てられている。


郊外のミクスドユース郊外のミクスドユース開発の広がりは業界全体の成長にも貢献をしている。専門家は郊外のトレンドに対して2つの理由を挙げている。一つは、人口分布の変化による郊外の人口の増加である。家族の形態は典型的な既婚の2人の子持ちというものだけではもはやなくなっている。独身、離婚、高齢者人口が増え、彼らが都市近郊に住むことを好む。住む場所も伝統的なシングルファミリーの一戸建てに限らず新しいタイプの居住者用建物のマーケットも作り出している。

第2の理由は、競争的小売り市場が常に彼らの製品を差別化しようとしている流れである。「大規模モールの考えはしぼみつつある。勢いはすり減らされ、その歴史は30才である。我々は次に進むときであろう。」と、ブレント・ライアン(シカゴのイリノイ大学都市計画教授)。

「小売の上の居住は止められない流れである。新しい大通りができ、あなたはその上で生活する、そして、ハイエンドの小売店が下にある。それは新しい考えであるが、それはノスタルジックなアピールも持つ。それはこれからのWin-Winシチュエーションである。

「都心でも郊外でも、都市計画者は住居と小売の融合をこれからのポジティブなステップとみている。」と、ポール・オング(ロサンゼルスカリフォルニア大学のリジョナルポリシースタディのためのルイスセンター責任者)。「このタイプの開発のウォンツはどこにでもある。私が思うに長期的に見て、ロサンゼルスなどの地域の都市はこのトレンドに注目しないことには経済生存能力と本当の成長を継続するのは難しいと見る。」

リース規定
ミクスドユースで入居者のリースにはよく使用される規定項目がある。以下がその中でもサインをする前に確認したい項目のリストである。
  • ゴミのピックアップ
  • 駐車場利用料
  • テナントビジネスの営業時間
  • エネルギーコスト
  • 騒音
  • 共用エリアのオプション
ダーネル・リトルは、JPMのライターである。本稿に関する質問は kgunderson@irem.org.にお送りください。

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